埼臨技会誌 Vol67
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微生物 簡易MICと実測MICは,ほぼ1管差以内を示したが,E. cloacae MBL は乖離がみられた.3株のmCIM法の結果はE. cloacae MBLのみが陽性であった.【考察】低感受性CPEの検出頻度は1株0.06%と今のところ低い.スクリーニングの再現性の問題もあったが,重要な耐性菌であり監視できる体制を整えておくことは必要と思わカルバペネム低感受性CPE検出状況簡易MIC 実測MIC E. cloacae MBL E. coli ESBL ① E. coli ESBL ② 0.668㎍/mL 4㎍/mL 1㎍/mL 0.5㎍/mL 0.125㎍/mL 1㎍/mL cloacae MBL 1株,C. koseri 1株,P. mirabilis 1株であった.20株を再検したところMEPM 0.143㎍/mLへの発育は3株(0.18%)で17株の簡易MICは≦0.167㎍/mLとなった.3株の内訳はE. cloacae MBL 1株,E. coli ESBL 2株,MEPMの簡易MICおよび実測MICは表に示す.【はじめに】MEPM感性と判定されるMIC値0.25~1㎍/mLを示す株の中にもカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)が存在するといわれているが、現在の自動機器では検出できない.今回,カルバペネム低感受性CPEスクリーニング方法を検討したので報告する.【方法】カルバペネム感性腸内細菌科細菌(CSE)およびカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)を用い,菌液分注後のイノキュレータΣ192(栄研)BP71パネルの陰性コントロールウェル(50μL)に,菌液分注直後のMEPM 1㎍/mLウェルの菌液10μLを加え,MEPMの濃度を理論値0.167㎍/mLに調整し発育の有無およびウェル中の生菌数を確認した.CSEのMEPMウェル内での生存時間を確認するため,MEPM 1㎍/mLウェルから分注直後,1時間後,3時間後,5時間後の生菌数を確認した.MEPM 1㎍/mLウェルから同様に菌液を調整後,さらに陽性コントロールウェルから10μLを添加し,MEPMの濃度を理論値0.143㎍/mLとなるように調整し発育の有無を確認した. 発育した菌に対しMIC理論値と実測値を比較した.なおMEPM耐性菌を【はじめに】MEPM感性と判定されるMIC値0.25~1㎍/mLを示す株の中にもカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)が存在するといわれる.今回BP71パネル(栄研)を用いて低濃度MEPMウェルを作成しカルバペネム低感受性CPEの検出状況を調査したので報告する.【方法】2020年3月から4月までの2か月間にBP71パネルに接種した任意の腸内細菌1666株を対象とした.菌液接種後の陰性コントロールウェルの1つにMEPM 1㎍/mLウェルの菌液及び陽性コントロールウェルの菌液を10μLずつ加え,理論値0.143㎍/mLのMEPMウェルを作成し,スクリーニングをした.また発育した菌に対して菌液分注後のMEPMの各希釈系列より10μL採取し未使用のウェルに加えMEPMの理論値濃度0.167,0.334,0.668,1.336㎍/mLを作成し,簡易MICを測定した.またカルバペネマーゼ産生の有無をmCIM法で確認した.【結果】検討した1666株のうちMEPM 0.143㎍/mLに発育した株は20株(1.2%)で内訳はK. pneumoniae 8株(ES-BL1株),E. coli 7株(ESBL6株),K. aerogenes 2株,E. 入手することができなかったため,CREはIPM耐性菌を用い抗菌薬はMEPMをIPMに替えて検討を行った.【結果】抗菌薬濃度 0.167㎍/mLではCSEの発育はなくCREは発育した.菌液分注直後に調整したウェル中の生菌数は103~106CFU/mLであった.CSEのMEPM 1㎍/mLウェル内の生菌数は分注から1時間後の間に急激に減少した.抗菌薬濃度0.143㎍/mLでもCSEの発育はなくCREは発育した.IPM感性(≦1㎍/mL)でMIC理論値0.143㎍/mLに発育した株のMIC実測値は0.5㎍/mLであった.【考察】菌液分注直後から生菌数の減少が見られたことから濃度調整後に生菌を加える方法に変更した.実測MIC値が推定MIC値内になったことから低濃度抗菌薬の作成方法は妥当であると考えられる.感性菌は0.143㎍/mLのウェルで発育せず,耐性菌は発育することからMEPMに対して感性(≦1㎍/mL)かつ0.143㎍/mLに発育する菌を見つけることで,カルバペネム低感受性CPEのスクリーニングが可能であると思われる.今後も症例数を増やし検討していきたい.      連絡先:048-997-7721 内線(200)れる.複数の耐性遺伝子を保有している場合には感受性パターンによる判定では確認が難しいため,確認方法については今後の課題である. 連絡先:048-997-7721内線(200)CPEスクリーニング方法の検討95◎金子 雄宇太1)、穴原 美子1)、江端 晃子1)、佐藤 聡太1)、葛西 晃司1)、柏﨑 里呼1)、芦 直樹1)、飯田 眞佐栄1)◎金子 雄宇太1)、穴原 美子1)、江端 晃子1)、佐藤 聡太1)、葛西 晃司1)、柏﨑 里呼1)、芦 直樹1)、飯田 眞佐栄1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)◎佐藤 聡太1)、穴原 美子1)、江端 晃子1)、金子 雄宇太1)、葛西 晃司1)、柏﨑 里呼1)、芦 直樹1)、飯田 眞佐栄1)◎佐藤 聡太1)、穴原 美子1)、江端 晃子1)、金子 雄宇太1)、葛西 晃司1)、柏﨑 里呼1)、芦 直樹1)、飯田 眞佐栄1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所1)CPEスクリーニング方法の検討カルバペネム低感受性CPE検出状況微生物EntryNo. 20微生物EntryNo. 22微-7(14:00~14:30)微-8(14:00~14:30)

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