埼臨技会誌 Vol67
94/118

5%CO2ガス環境下で35℃18時間培養し,ブルセラHK寒天培地を嫌気環境下で35℃2日間培養した.血液寒天培地やチョコレート寒天培地,ブルセラHK寒天培地に菌の発育を認めたが,BTB寒天培地に発育は認めなかった.Pasteurella sp.を疑ったが,オキシダーゼ試験は陰性で合致しなかった.同日MicroScan WalkAway 96plus (以下W/A)にてNC-IN2Jパネルを用いて同定・感受性試験を実施したが,発育不良により結果は得られなかった.後日,血液培養からCO2要求性Escherichia coliを分離した1症例【はじめに】CO2要求性 Escherichia coli はsmall-colony variants (SCVs) という変異株の一種である.SCVsとは発育の遅延や非典型的なコロニーを形成する株の総称で,他にも発育条件にヘミンなど栄養要求性を示すものもある.今回血液培養よりCO2要求性E.coliの分離を経験したので報告する.【症例】70代,女性.発熱,体動困難を主訴に救急外来を受診.腎盂腎炎の既往があるが,画像上腎・尿路感染を疑う所見は見られなかった.血液検査にてWBC,CRP,肝・胆道系逸脱酵素の上昇を認めたため,同日血液培養,尿培養が提出された.翌日には血液培養3本(嫌気ボトル2本,好気ボトル1本)が陽性となった.【細菌学的検査】培養液は当院のマニュアルに従い,好気ボトルを血液寒天培地,チョコレート寒天培地,BTB寒天培地の3枚に,嫌気ボトルは上述の培地にブルセラHK寒天培地を加えた4枚にサブカルチャーを行った.塗抹検査ではグラム陰性桿菌を認めた.分離培養はBTB寒天培地を好気環境下で,血液寒天培地とチョコレート寒天培地を【はじめに】Cryptococcus neoformans(以下C. neoformans)は酵母様真菌の一種でHIV/AIDSを代表とした細胞性免疫不全患者に深在性真菌症を引き起こすが,その他にも軽度の免疫不全の患者や健常人にも発症することが知られている.培養検査では比較的すみやかに発育し,白色のスムース型コロニーを形成する.今回,墨汁染色が有用であった遅発育性のC. neoformansによる髄膜炎症例を経験したので報告する.【症例】40歳代男性.以前から頭痛があり,3週間前より発熱,吐き気が出現したため他院を受診しMRIを施行するも異常は見られなかった.症状は一旦改善したが,再度発熱したため精査加療目的に当院を受診した.【結果】入院時検査所見:CRP0.47mg/dL,WBC9.2×10³/µL,HIVAg/Ab陰性,HBsAg陰性.髄液細胞数224/µL,髄液蛋白108.8mg/dL,髄液糖32mg/dL.微生物学的検査:髄液の直接塗抹検査ではグラム染色陰性,墨汁染色陽性であった.墨汁染色結果及び推定菌種名を主治発育状況や臭気,スポットインドール試験が陽性となった点からE.coliのCO2要求株を考えた.菌同定を獨協医科大学埼玉医療センターに依頼したところ,MALDI BiotyperにてE.coliと同定された.改めてW/Aパネルや生化学的性状確認試験を5%CO2ガス環境下で培養するとE.coliと同定できた.【まとめ】質量分析装置にて結果を得られたが,CO2要求性E.coliを疑うまで数日を要した.非典型的な性状を示した場合には,SCVsも考慮して検査を進める必要がある. 連絡先:048-965-2221(内線2255)医へ報告した後,F-FLCZによる治療が開始された.5%CO₂培養では平板培地上に菌は発育せず,培養7日目にHK半流動培地の上層部に菌の発育が見られ,院内検査によりC. neoformansと同定された.【まとめ】今回検出されたC. neoformansは発育が遅く同定結果の報告までに時間を要したが,墨汁染色により推定菌種名を報告したことで,早期に治療を開始することが出来た.当患者は明らかな基礎疾患や免疫不全を有していなかったため,本症例より基礎疾患や免疫不全の有無に関わらず,髄液検体全例に対して墨汁染色を行う必要性を感じた.今後も速やかな結果報告に努めることで臨床に寄与していきたい.92連絡先:048-571-1511(内線1877)◎稲垣 理絵1)、千葉 明日香1)、松内 萌1)、前田 友子1)、高村 さをり1)、石井 直美1)、五十里 博美1)、渋谷 賢一1)◎稲垣 理絵1)、千葉 明日香1)、松内 萌1)、前田 友子1)、高村 さをり1)、石井 直美1)、五十里 博美1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)◎渡辺 駿介1)、柳原 伸江1)、野瀬 和彦1)、猪野 晋慶1)、宮本 菜夕利1)◎渡辺 駿介1)、柳原 伸江1)、野瀬 和彦1)、猪野 晋慶1)、宮本 菜夕利1)深谷赤十字病院1)深谷赤十字病院1)微生物血液培養からCO2要求性Escherichia coliを分離した1症例微生物EntryNo. 25墨汁染色が有用であった1症例EntryNo. 3遅発育性のCryptococcus neoformans髄膜炎に遅発育性のCryptococcus neoformans髄膜炎に墨汁染色が有用であった1症例微-1(14:00~14:30)微-2(14:00~14:30)

元のページ  ../index.html#94

このブックを見る