埼臨技会誌 Vol67
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免疫血清~感染症・腫瘍マーカーについて~装置・試薬間の測定値比較における相関係数と一次回帰式の妥当性について【目的】装置・試薬間等における測定値比較時に測定値間の指標として多用されている統計量(ピアソンの相関係数と最小二乗法による一次回帰式)について,その妥当性を検討・評価した.【方法】血清フェリチン(略;Fer, ng/mL)試薬の抗Ferポリクローナル抗体試薬(P試薬)と,抗Ferモノクローナル抗体試薬(M試薬)による測定値の比較を行った.測定試料は患者血清143件(Min, 1.6; Max, 928; Mean, 251; SD, 254)を用いた.データ処理は全体,基準値以下,基準範囲,基準値上限以上,およびFer; 600 ng/mL以上とした.統計量は相関係数および一次回帰式,P試薬とM試薬の実測値差(%),と予測残差(%)により評価した.【結果】相関係数と回帰式は,全体;r=0.995, y=1.08x-2.9.基準値以下;0.998, 0.99x+0.2.基準範囲;0.992, 1.08x-5.2.基準値上限以上;0.946, 1.0x+30.600 以上;0.734, 0.86x+158であっ【はじめに】感染症・腫瘍マーカーの追加検査は再採血が望ましいが,それが困難な場合,冷蔵残余血清を用い検査している.また,保存に伴う測定値への影響について試薬添付文書では明記されていない項目もある.今回,当施設で追加検査が多い感染症・腫瘍マーカーの冷蔵保存安定性について検討したので報告する.【検討項目】HBsAg・HBsAb・HBcAb・HCV抗体(CLEIA), TP抗体・RPR (LIA),PSA・CEA・CA19-9 (FEIA)【検討方法】低中高濃度域において冷蔵残余血清を2日毎,14日間測定(N=15).血清分離材の影響を検証するため,A:元検体,B:子検体チューブの比較を行った.【評価方法】測定値0日を基準とし,2日目以降の測定値について相対評価を行った.(±20%以上影響あり)また,保存状態A・Bの有意差をt検定で評価した.(有意水準:p<0.05)【結果】検討項目すべてにおいて保存状態A・Bの有意差は認めなかった(p>0.05).相対評価で影響が認められた項目はHBsAg・RPRで,HBsAg低濃度は14日目が41.0~105.7%であり,検体により差を認めた.中・高濃度では10検体中7検体た.実測値の差は±5%以内が,全体,55.2%;基準値以下,73.7.基準値範囲,57.6.基準値上限以上,33.3.600以上,31.6.同様に予測残差(%)は,全体,57.3 %.基準値以下,13.2.基準範囲,80.3.基準値上限以上,65.0.600以上,57.9.であった.以上のことから相関係数は600以上の0.734を除いて0.9以上と非常に強い相関性を示した.回帰式の傾きは1.0前後で,y切片は基準値上限以上および600以上では,+30 ng/mL,+158と大きくM試薬側に偏った.このことは高値においてM試薬がP試薬に比べて高値傾向であることを示している.また,予測残差の割合は±5%以下, 57.3 %.±5〜10;21.7.±10以上;21.0で,その差は大きくなった.【結語】測定値比較で多用されている相関係数は,本来,両者に函数関係のない場合に用いられる統計量で,その値からの評価は定性的である.今回の場合も強い相関があっても実測値の差は大きいことがあり,注意が必要である.             連絡先; 049-232-3131において,14日目まで±20%以内と経時変化は認めなかった.3検体において2日目以降,徐々に上昇し14日目は124.1~ 206.5%と経時変化を認めた.RPRは全濃度で緩やかに低下し,14日目は30.0~78.6%であった.その他の項目に経時変化は認められなかった.【考察】上昇を認めたHBsAg中・高濃度3検体の共通点としてHBV DNAが検出され,これによる影響が疑われたが詳細は不明であった.脂質抗原のカルジオライピンは酸化されやすく,二価金属イオンにより不安定化されやすい.そのため, 抗原抗体反応に影響を及ぼす可能性があり,それがRPR低下の要因のひとつと考えられた.HBsAg低濃度・RPRは値により陰性化する恐れがあるため,新鮮血清での検査が望ましい.また今回経時変化を認めなかったが,PSAは保存により 測定値低下が知られているため注意が必要である.【まとめ】検体検査は保存による影響の理解が不可欠である.HBsAg・RPR以外の項目は採取後冷蔵保存で14日間まで測定可能だが,追加検査がある場合,必要に応じ参考値での報告が望ましい.         連絡先:048(433)371191冷蔵残余血清を用いた追加検査◎髙橋 和男1)、奈良部 安1)◎髙橋 和男1)、奈良部 安1)株式会社 ビー・エム・エル BML 検査本部1)株式会社 ビー・エム・エル BML 検査本部1)◎岡倉 勇太1)、鳥羽 美菜1)、丸山 聖人1)、菊池 萌衣1)、山下 久美子1)、青木 菜美子1)、横山 静織1)、木暮 憲幸1)◎岡倉 勇太1)、鳥羽 美菜1)、丸山 聖人1)、菊池 萌衣1)、山下 久美子1)、青木 菜美子1)、横山 静織1)、木暮 憲幸1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)戸田中央医科グループ 戸田中央臨床検査研究所1)装置・試薬間の測定値比較における相関係数と一次回帰式の妥当性について冷蔵残余血清を用いた追加検査~感染症・腫瘍マーカーについて~EntryNo. 35EntryNo. 53免疫血清免疫血清免-4(11:00~11:30)免-5(11:00~11:30)

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