埼臨技会誌 Vol67
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臨床化学免疫血清価(90C.O.I以上)陽性は80件(陽性率1.3%,平均年齢69歳),消化器内科以外は27件であった.HCV抗体依頼件数は5781件,陽性169件(陽性率2.9%,平均年齢72歳),消化器内科以外は82件であった.これらの陽性患者については,検査科で月ごとに抽出し,消化器内科へ報告する仕組みが0.02~3.00g/Lの範囲で直線性を確認した結果、各検量線試料の逆回帰値の真度(%)はMAが−1.0~+1.0、PGAが−3.7~0.0であった.日内再現性の精度及び真度はMAがCV(%) 0.0~8.3、RE(%)0.0~+14.0、PGAがCV(%)0.0~6.7、RE(%) −4.0~+8.0であり、日間再現性はMAがCV(%)0.0~6.7、RE (%)0.0~+8.0、PGAがCV(%)0.0~5.1、RE(%)−2.0~+2.0 が得られた.また、MAの従来法(HPLC-UV)との相関は、回帰式y= 1.031x+0.020、r=0.9940が得られた.【結論】LC-MSを用いたマンデル酸及びフェニルグリオキシル酸の同時分析法のバリデーションの結果、0.02~3.00g/Lの濃度範囲において直線性及び精度は良好であり、分析法の妥当性が確認された. マンデル酸については従来法との相関も良好な結果が得られた.またLC-MS法を採用し選択性が向上したことにより、従来法で確認されていた隣接ピークと分離され、単一ピークでの検出が可能となり、さらに分析時間は従来の19分に対し2分となり、17分短縮することができた.LC-MSを用いることで、マンデル酸とフェニルグリオキシル酸の同時分析が可能となり、さらに迅速で精度の良い検査が可能となった.LC-MSを用いた尿中マンデル酸及びフェニルグリオキシル酸の同時分析法の検討及びフェニルグリオキシル酸の同時分析法の検討【目的】令和2年3月に特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令が公布され、スチレンの特殊健康診断については「尿中のマンデル酸及びフェニルグリオキシル酸の総量測定」が新たに追加された.本改正により現在検査を実施しているマンデル酸測定に加え、新たにフェニルグリオキシル酸の測定が必要となった.今回、高速液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS)を導入し、尿中マンデル酸(MA)及びフェニルグリオキシル酸(PGA)の同時分析法のバリデーションを行ったので報告する.【方法】①試料前処理-尿10µLを内部希釈倍率500倍)した.その希釈液をLC-MSに注入した.②測標準溶液で20倍希釈し、さらに超純水にて25倍希釈(最終定条件-測定機器:ACQUITY UPLC QDa LC-MSシステム(Waters)分析カラム:ACQUITY UPLC BEH C18(1.7µm 2.1mm I.D.×50mm)、移動相:(A)0.1%ギ酸含有10mmol/L酢酸アンモニウム水溶液(B)メタノール、イオン化:ESI(Negative)、ピーク同定:SIM法、MA及びその内部標準物質(MA-d5)はそれぞれm/z151およびm/z156、PGA及びその内部標準物質(PGA-d5)はそれぞれm/z149及びm/z154を選択した.【結果】【はじめに】当院では,肝疾患診療拠点病院として埼玉県助成による肝炎ウイルス無料検査(以下,埼玉肝炎検査)や肝炎ウイルス陽性者に対する受診勧奨とともにフォローアップ事業を行っている.今回,埼玉肝炎検査の実施状況と当院における肝炎ウイルス陽性患者について調査したので報告する.    【対象・方法】①2017年4月〜2020年3月に,埼玉肝炎検査を実施した件数を比較した.②2019年4月〜2020年3月に感染症検査依頼のあった6700件のうち,HBs抗原,HBc抗体,HCV抗体の検査状況と陽性率を調査した.    【結果】 ①埼玉肝炎検査の実施件数は235件.2017年度133件,2018年度65件,2019年度37件で,徐々に減少していることがわかった.肝炎ウイルス陽性者はHBs抗原1件,HCV抗体0件であった.②肝炎ウイルス陽性患者は,依頼科別では消化器内科が最も多かったが,他科の入院時スクリーニング検査や術前検査にも多くみられた.HBs抗原依頼件数は6570件,陽性は701件(陽性率10.7%,平均年齢54歳),消化器内科以外は64件であった.HBs抗原かつHBc抗体依頼件数は5862件,そのうちHBs抗原陰性でHBc抗体高力当院における肝炎ウイルス検査の実施状況89肝炎コーディネーターの連携で成り立っている.消化器内科未受診者や診断・治療に関する履歴がない他科依頼の陽性患者は速やかに主治医に通達し専門外来受診を勧めているが,核酸定量検査等の追加検査がされていない症例がみられた.【まとめ】埼玉肝炎検査をポスター掲示・院内イベント等で勧奨しているが年々減少傾向にあり,受検査数を増加させることが課題と考える.しかし,肝炎ウイルス陽性が判明しても医療機関を受診しない症例,かかりつけ医を受診しても定期検査がされない症例が少なからず存在する.今後,他科受診時の検査結果等を含め,様々な機会にウイルス陽性が判明した患者が次のステップである医療機関の受診,適切な治療につながるよう対策を進めていきたい.                    連絡先0480‐52‐3611(内線1809)◎板橋 直人1)、水村 千恵1)、町田 聡1)◎板橋 直人1)、水村 千恵1)、町田 聡1)株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)◎落合 仁美1)、佐藤 祥子1)、下元 怜美1)、加藤 鉄平1)、菊池 航介1)、長江 結乃1)、猪浦 一人1)◎落合 仁美1)、佐藤 祥子1)、下元 怜美1)、加藤 鉄平1)、菊池 航介1)、長江 結乃1)、猪浦 一人1)埼玉県済生会栗橋病院1)埼玉県済生会栗橋病院1)LC-MSを用いた尿中マンデル酸当院における肝炎ウイルス検査の実施状況EntryNo. 40EntryNo. 24臨床化学免疫血清化-6(14:30~15:00)免-1(11:00~11:30)

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