埼臨技会誌 Vol67
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輸 血連絡先:048-648-5371血液製剤の使用状況を含めて85救急部からの要望とその対策について血液製剤の使用状況を含めて輸血業務に関する不安軽減の取り組み【はじめに】当センターは2016年4月に設備を刷新し,3次救急患者を扱う初療室にHybrid ERのシステムを導入している.これにより,搬送された患者がX線CT室,血管撮影室,手術室などに移動せず診断治療を行うことが可能になった. 3次救急患者は心筋梗塞や脳卒中,心肺停止,多発外傷等の医療を行う為に輸血製剤の迅速な準備が欠かせない.今回は,血液製剤の使用状況と診療側の輸血に関する要望と対策について報告する.【対象】血液製剤の依頼数(依頼件数)・使用数(使用件数)について①救急部すべての製剤 ②緊急(RBC:O型)持出時の未交差適合試験(ノンクロス)の製剤 ③同型ノンクロスで持出した製剤 ④クリオプレシピテート(クリオ)製剤 ⑤救急部のO型RBC在庫の製剤を調べた. また, 診療側からの要望でクリオ製剤の作製・救急部RBC製剤保管を開始したのでその概要を説明する.【結果】2016年4月~2019年3月の期間を対象とした血液製剤の依頼数(依頼件数)・使用数(使用件数)は①救急部のRBC:6,749単位(1,716件)・4,518単位(1,367件)②緊急(RBC:O型)持出時のノンクロス:506単位(80件)・356単位(70件)③同型RBC持出時のノンクロス:254単位(40件)・【はじめに】輸血療法は医師や看護師と連携して行うことが多く,輸血業務に関する質問も適宜対応しなければならない.当院の日当直体制は技師1名で,他の緊急検査に対応しながら輸血業務を行っている.そのため,日ごろ輸血業務に携わっていない技師にとって慣れない輸血対応は,精神的ストレスも大きい.そこで輸血に関する質問を記録してもらい,『輸血Q&A』を作成することで,不安軽減と対応の迅速化に取り組んだので報告する.【方法】2019年4月から2019年12月までの間に輸血業務に関する問い合わせが来た際,次の3項目について記録してもらった.①質問者の職種 ②質問内容 ③質問に対しての返答【結果・考察】79件の質疑応答記録が得られた.分類した結果, 20パターンの質問内容となった.そのうち多かった質問を手元に置いてすぐに確認できる『輸血Q&A』としてまとめた.最も多かった質問は,輸血の払い出しまでの時間だった.この質問は日当直に多く,そのほとんどが看護師からであった.248単位(40件)④2019年7月からAB型FFP480でクリオ製剤の作製と使用を開始した.2019年7月~2020年6月のクリオ製剤の依頼数(依頼件数)・使用数(使用件数):716単位(57件)・700単位(57件)⑤2019年9月からHybrid ERの冷蔵庫にO型RBC6単位を在庫として保管を開始した.2019年9月~2020年4月の救急部RBC製剤保管の使用数(使用件数):80単位(19件)【考察】当センターで3次救急が始まって4年経過したが患者数の増減に伴い,輸血依頼数も増減し同型RBCノンクロスやO型RBCノンクロスの依頼数はかなり変動した.今回,院内でクリオ製剤を作製して常時24単位を在庫として必要時に輸血することは,大量出血や大量輸血に伴う希釈性凝固障害に効果的である.また救急部で大至急輸血したい場合にO型RBC製剤を使用できる体制のシステムを構築し,緊急事態に対応できるよう毎朝Hybrid ERの冷蔵庫に臨床検査技師が在庫の補充や交換を行なっている.                    夜間帯や休日は,看護師も少人数で多くの業務をかかえており,そこに輸血業務も同時進行しなければならない.そのため払い出しまでの時間が分かれば看護師も業務計画がたてやすくなり,効率的な行動がとれるのではないかと考える.【結語】今回の取り組みの感想として,『輸血Q&A』を目に触れる場所に置くことにより,「それを見ながら迷いのない返答ができるようになった」という声があった.迅速な返答は,医師・看護師に安心感を与え,検査科への信頼にもつながる.『輸血Q&A』を作成することで輸血業務の細かい取り決めが見える化され,的確な返答が可能となった.このことは輸血業務だけではなく,他部門においても有用であり,検査科全体の向上につながるのではないかと考える.今後は他部門にも取り入れていきたい.連絡先:048-965-2221(内線2258)◎小島 敬弘1)、岩崎 篤史1)、中野 佑美1)、清水 咲子1)、三ツ橋 美幸1)、和田 由香1)、武関 雄二1)、渡野 達朗1)◎小島 敬弘1)、岩崎 篤史1)、中野 佑美1)、清水 咲子1)、三ツ橋 美幸1)、和田 由香1)、武関 雄二1)、渡野 達朗1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)◎織田 喜子1)、大塚 幸成1)、佐々木 菜緒1)、熊谷 佳奈江1)、石井 直美1)、渋谷 賢一1)◎織田 喜子1)、大塚 幸成1)、佐々木 菜緒1)、熊谷 佳奈江1)、石井 直美1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)救急部からの要望とその対策について輸血業務に関する不安軽減の取り組み輸血EntryNo. 2輸血EntryNo. 48輸-5(13:00~13:30)輸-6(13:00~13:30)

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