埼臨技会誌 Vol67
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値y=1.07x-4.21,r=0.974であった.②同時再現性:60分値14%であった.③気泡混入:測定値への明らかな影響はみられなかった.④採血量:測定可能範囲採血量では測定値への4つの測定モードごとに相関を調べた.②同時再現性:6件を4回連続測定した.③気泡混入:故意に気泡を混入させた20件を測定し,影響を調べた.④採血量:Smart Rate20の専【はじめに】当院の赤血球沈降速度検査は,全自動赤血球沈降速度測定装置JOS15(常光)を使用しWestergren法で測定していた.今回,専用採血管を用いたRate法(Westergren変法)で測定するSmart Rate 20(常光)を導入することになり, 基礎検討を行ったので報告する.【方法】①JOS15とSmart Rate20の相関性:JOS15で測定した検体を,抗凝固剤を除いたSmart Rate20の専用採血管に移し,Smart Rate20で測定した.24件を対象とし,30分値・60分値・120分値の相関を調べた.また,Smart Rate20の測定モードには120分値まで測定できる30/60分測定・45分測定と60分値まで測定できる30分測定・15分測定があり,この用採血管での測定可能な最少採血量,標準採血量,最多採血量で測定をし,採血量による測定値への影響を調べた.【目的】好中球顆粒減少は骨髄異形成症候群(MDS)でカテゴリーAの重要な異形成所見である.しかし顆粒減少の程度は一律ではなく染色性不良を含め判別に苦慮することがある.そこで判別向上を目的に,メイグリンワルド・ギムザ染色の緩衝液の温度に着目し検討を実施した.【検討方法】染色条件:1層目メイグリンワルド原液3分,2層目メイグリンワルド液25mL+1/150Mリン酸緩衝液25mL希釈液5分,3層目ギムザ液6mL+1/150Mリン酸緩衝液150mL希釈液15分,流水水洗1分(染色液,緩衝液は武藤化学社).検討内容:①室温下におけるメイグリンワルド緩衝液の温度変化(5日間)②健常者標本を用い,メイグリンワルド緩衝液の5,10,15,20,25(対照),30,37℃の各温度における染色性の確認.③適正温度条件を用い好中球顆粒減少及び好中球顆粒減少の判別に苦慮した症例の検討.【結果】①メイグリンワルド緩衝液の温度変化はMEAN 24.3℃,SD 2.07℃,MAX 30.3℃(調整直後),MIN 21.7℃であった.②各温度条件下の染色性変化は,対照と比較し温度の低下に従い好中球顆粒及びクロマチン構造がより明瞭に染色60分値y=1.20x-3.77,r=0.980,120分値y=1.01x-1.68,r=0.979であった.45分測定では30分値y=0.923x+1.15,r=0.961,60分値y=1.19x-5.95,r=0.951,120分値y=1.27x-6.16,r=0.983であった.30分測定では30分値y=0.923+1.15,r=0.957,60分値y=1.16x-4.03,r=0.988であった.15分測定では30分値y=0.824x+1.56,r=0.969,60分10mm未満ではCV:0-29%,60分値10mm以上ではCV:2-【結果】①相関:30/60分測定では30分値y=0.969x+1.68,r=0.952,影響はみられなかった.【まとめ】測定モードごとの相関と同時再現性は良好で,採血量による明らかな影響はみられなかった.SmartRate 20を導入したことで測定時間が短縮し,血沈棒ではなく専用採血管で測定ができるため感染の可能性が軽減した.よって日常検査に有用であると考える。連絡先:0480-93-0287された.赤血球は染色性が向上し5℃では黄色調を認めた.また温度の上昇に従い好中球顆粒,クロマチン構造の染色性が共に不明瞭となり,赤血球は青色調が認められた.③適正温度(15℃)を用いた症例検討では25℃と比較し好中球顆粒の染色性が向上するものと,著変が認められないものがあった.【考察】メイグリンワルド緩衝液調製直後の発熱は水とメタノールの吸水反応によると思われる.温度変化はイオン均衡へ影響を与え,ロマノフスキー効果へも影響し染色性が変化したと考えられる.15℃条件下で染色性が著変しなかったものはMDS患者であり,顆粒染色性が低下もしくは顆粒が実際に減少しており変化を認めなかったと思われる.【まとめ】メイグリンワルド緩衝液は10~20℃で染色性が向上する,しかし室温下では調製直後を除き25℃付近で安定している.そのため,好中球顆粒減少の判別に迷う場合や染色性不良を疑う場合は15℃付近へ冷却し染色する方法が有用であると思われる.冷却メイグリンワルド緩衝液を用いた好中球顆粒減少判別向上の検討連絡先:048-665-611478◎中野 智恵1)、山中 純也1)、片桐 佳紀1)、齋藤 綾1)◎中野 智恵1)、山中 純也1)、片桐 佳紀1)、齋藤 綾1)医療法人社団哺育会 白岡中央総合病院1)医療法人社団哺育会 白岡中央総合病院1)◎稲森 悠1)、島田 憲司1)、波多野 幸子1)、浅見 省吾1)、中田 正人1)、鈴木 朋子1)◎稲森 悠1)、島田 憲司1)、波多野 幸子1)、浅見 省吾1)、中田 正人1)、鈴木 朋子1)上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンター1)上尾中央医科グループ 彩の国東大宮メディカルセンター1)全自動赤血球沈降速度測定装置全自動赤血球沈降速度測定装置「Smart Rate 20」の基礎的検討「Smart Rate 20」の基礎的検討冷却メイグリンワルド緩衝液を用いた好中球顆粒減少判別向上の検討血液EntryNo. 45血液EntryNo. 57血-1(11:30~12:00)血-2(11:30~12:00)

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