埼臨技会誌 Vol67
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一 般BCG治療患者の尿沈査成分についての検討当院における尿中異型細胞の検出率をあげるための取り組み【はじめに】当院では,尿沈渣の測定の際に,全自動尿中有形成分分析装置(以下,UF-5000)を使用しており,異型細胞(以下,Atyp.C)に関しては0.5/μL以上を,目視による再検査の条件としている.しかし,Atyp.Cが0.5/μL以下の場合でも尿沈渣中に異型細胞がみられることがあった.Atyp.Cは核酸量を示す側方蛍光信号波形面積と有形成分の長さを示す前方散乱光信号幅から分類されるが,前方散乱光信号幅は非扁平上皮細胞(以下,NonSEC)と同等となる.このことから,異型細胞はNonSECに分類される可能性もあると考え,UF-5000によるAtyp.C,NonSECの結果と細胞診の結果を比較し,異型細胞の報告や運用方法について,検討を行ったので報告する.【方法】2019年8月1日から2020年2月29日に,尿沈渣の依頼があった尿検体のうち,細胞診結果がClassⅢa以上であった105件を対象とし,UF-5000のAtyp.CとNonSECの計数値の結果と細胞診の結果を比較した.UF-5000の計数値は,Atyp.Cのカットオフ値を0.5/μL,NonSECのカットオフ値を5.0/μLと設定した.細胞診は,株式会社ビー・エム・エルに外部委託している.【はじめに】当院では,膀胱上皮内癌の患者に対しての治療としてBCG膀胱内注射療法(以下,BCG療法とする)を行っている.BCG療法中の検査項目として,尿定性・尿沈査と症状に応じて尿培養検査などが実施される場合がある.これは,BCG療法による尿路感染症の併発をモニタリングするのが目的である.今回,BCG療法患者の尿沈査成分を詳細に分類することでBCG療法の治療状況のモニタリングの一助になるか検討を行った.【対象】2020年1月7日~2020年4月14日までにBCG療法を開始した患者9名を対象とした.BCG療法1回目から最大8回目までの検体全てを対象に検討を行なった.【方法】BCG注射前の尿検体を1500rpm5分間遠心後,スライドグラスに塗抹標本を作製しグラム染色,チールネルゼン染色,ギムザ染色及び尿沈渣の標本を作成し鏡検を行った.鏡検内容,細菌の有無・残存抗酸菌の有無と白血球の分類及び形態の確認を行った.【結果】グラム染色の結果より,9例中細菌が認められたのは1例であった.チールネルゼン染色の陽性例はなかった.ギ【結果】細胞診の結果がClassⅢa以上であった105件のうち,Atyp.Cが0.5/μL以上の検体は22件(21.0%)となった.また,NonSECが5.0/μL以上であった検体は32件(30.5%),Atyp.Cが0.5/μL以上,またはNonSECが5.0/μL以上の検体は42件(40.0%)であった.【考察】今回の検討では,細胞診の結果がClassⅢa以上の尿検体であっても,約60%はUF-5000では異型細胞と分類することができないと考えられた.当院では,細胞診を外部委託しており,UF-5000での測定と細胞診の検査実施までにタイムラグがあることもUF-5000と細胞診の結果が乖離したことの一因であると考えられる.この検討結果より,異型細胞の検出率をあげるため,尿沈渣の依頼があった全検体に対してS染色の鏡検を行うこととした.これにより,検討期間の11月29日以降から2月29日に,異型細胞について57件の追加報告をすることができ,異型細胞の検出率を向上させることができたと考えられる.    連絡先:048-552-1111ムザ染色では,どの標本であっても好中球が優位に認められた.好中球は細菌感染症を起こしている標本であっても生細胞ではなく死細胞が多く認められた.また,尿沈渣においてBCG療法の処置を重ねるごとに好中球が増加傾向となったのは9例中8例であった.【考察】今回の検討結果では,グラム染色・チールネルゼン染色で細菌は認められず,白血球の増加は細菌感染が原因ではない可能性が高いことが推測できた.また,尿沈渣やギムザ染色においてBCG投与後に好中球が増加傾向を示し,その好中球は生細胞ではなく死細胞であることが分かった.BCG投与により免疫反応が起こり好中球が出現し尿中に残存したと考えられる.今回の検討ではBCG療法のモニタリングの一助として有用な指標となる結果は得られなかったが,異形細胞の出現等を確認することで,治療効果の指標となる可能性があるため検討を続けたい.                連絡先:048‐552‐111177◎中川 麻由美1)、藤原 朗博1)、冨田 耕平1)、成塚 靖浩1)、曽我 洸斗1)、小野 世佳1)、原 誠則1)◎中川 麻由美1)、藤原 朗博1)、冨田 耕平1)、成塚 靖浩1)、曽我 洸斗1)、小野 世佳1)、原 誠則1)壮幸会 行田総合病院1)壮幸会 行田総合病院1)◎曽我 洸斗1)、藤原 朗博1)、冨田 耕平1)、中川 麻由美1)、成塚 靖浩1)、小野 世佳1)、原 誠則1)◎曽我 洸斗1)、藤原 朗博1)、冨田 耕平1)、中川 麻由美1)、成塚 靖浩1)、小野 世佳1)、原 誠則1)壮幸会 行田総合病院1)壮幸会 行田総合病院1)当院における尿中異型細胞の検出率をあげるための取り組みBCG治療患者の尿沈査成分についての検討一般EntryNo. 8一般EntryNo. 55般-3(11:00~11:30)般-4(11:00~11:30)

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