埼臨技会誌 Vol67
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0647288720746760216547795111813503287100計011668923100934758生 理総件数良性件数悪性件数悪性率(%)<0.7≧0.7≧0.7(%)≧0.7≧0.7(%)D/W*うち悪性*2959758869①生検結果②超音波検査結果(SUC分類とD/W)SUC 2SUC 3SUC 4SUC 5*充実性腫瘤のみ連絡先:048-463-7284~検診乳房超音波カテゴリー分類を踏まえて~右陰嚢内に発生した脂肪芽腫の一例当院における超音波ガイド下マンモトーム生検の実施報告73【症例】5歳男児.母が3ヶ月前より陰嚢の腫大に気づき近医を受診した.右陰嚢内に腫瘤を認め,精査目的で当院受診となった.今まで健診で異常を指摘されたことはなかった.外来診察で精巣は両側とも陰嚢内に位置していたが,右精巣は腹側に偏位しており,その背側および尾側に弾性硬の腫瘤を触知した.その際,触診による圧痛は認めなかった.【超音波検査所見】右陰嚢内に精巣とは明らかに異なる腫瘤を3個連なるように認めた.境界は明瞭で辺縁は整であった.腫瘤内部は周囲脂肪織よりやや低めの高エコーで,一部に低エコー域を認めるも無エコー域は認めなかった.腫瘤内部の血流シグナルはみられなかった.腫瘤の後方エコーは増強しており,一部に外側陰影を認めた.腫瘤と精巣に明らかな連続性はなく,精巣や精巣上体に異常所見はみられなかった.陰嚢内水腫は生理的範囲内であった.【MRI検査所見】右陰嚢内に多房性の境界明瞭な結節を認めた.内部はT2強調像で高信号,T1強調像で高信号と低信号が混在していた.また,脂肪成分の含有が示唆された.造影MRI検査においては,造影効果に乏しかった.【はじめに】当院は地域の中核病院として乳がん検診の超音波検査から精密検査を行っている.今回,超音波ガイド下マンモトーム(以下MMT)生検の実施報告を通し,生検前超音波検査による検診超音波カテゴリー(以下SUC)分類とSUCの指標の一つである腫瘤の縦横比(以下D/W)について調査を行ったので報告する. 【対象と方法】2018年1月~2019年12月にMMT生検を実施した127件.①生検結果の良悪性数,年代別悪性率の算出②超音波検査によるSUC別の件数,悪性率の算出および充実性パターンの腫瘤に対し,D/W(cut off値0.7)の調査を行った.【結果】①生検結果は40代が実施件数・悪性数共に一番多かった. 悪性率は50代以降が77%以上と高率であった.②SUC別件数は悪性の可能性が疑われるSUC4が一番多く,次いで良性の可能性が高いが一部生検が望まれるSUC3が多かった.SUC2は良性例のみ,SUC3:32%,4:87%,5:100%の割合で悪性であった. 悪性例のうち, D/W≧0.7を呈した割合はSUC3:64%,4:72%,5:88%.全悪性例は72%であった.【手術所見】その後,診断と治療目的で経陰嚢的に腫瘤摘出術が施行され,右陰嚢内から3つこぶ状の腫瘤が摘出された.腫瘤と精巣鞘膜は直接接しておらず,精巣は温存された.【病理検査所見】線維性被膜を伴う境界明瞭な多結節性腫瘤で,内部は主に成熟した脂肪組織からなり,一部紡錘形細胞や粘液状,線維性,浮腫状間質もみられるが,核異型は乏しく悪性所見は認めなかった.病理診断は脂肪芽腫であった.【まとめ】脂肪芽腫は主に3歳以下の乳幼児にみられる稀な良性腫瘍である.好発部位は四肢や体幹部,頭頚部であるが,なかでも陰嚢内に発生することは特に稀とされ,治療後に局所再発をきたすとの報告も散見される.本症例では超音波検査で腫瘤の形状,内部性状,血流評価,周囲組織との関係などを詳細に観察することができ,臨床診療,診断の一助となった.手術後には繰り返し行いやすい超音波検査にて再発の検索を行っており,4年経過した現在も再発は認めていない.今回われわれは右陰嚢内に発生した脂肪芽腫という稀な症例を経験したため,文献的考察も含めて報告する.20代30代40代50代60代70代80代総件数127428567実施件数1良性件数1悪性件数0悪性率(%)0148643【考察・まとめ】厚生労働省の統計によると,わが国の2017年部位別罹患率の1位は乳がんであり,40代での罹患が高く,乳がん検診の対象年齢は40歳以上とされている.今回,当院で実施した生検結果からも40代以降は乳がん検診を受ける必要性が高いと言える.超音波検査結果のSUC2は本来,精査不要となるため生検理由を調査した結果,経過観察中の増大傾向,患者側の精査・摘出希望が多かった.D/W≧0.7の腫瘤はSUCの引き上げと共に高い悪性率を示したことから,SUCおよびD/Wは充実性腫瘤の超音波検査を行う上で重要な指標であることを再認識できた.今後も乳がんの早期発見の一助を担っていきたい.連絡先:048-873-4111(内線2430)82205178771004323204722418821711694◎池田 裕1)、立川 一博1)、西田 満喜子1)、宇田川 智子1)、手塚 康晴1)◎池田 裕1)、立川 一博1)、西田 満喜子1)、宇田川 智子1)、手塚 康晴1)さいたま市立病院 中央検査科1)さいたま市立病院 中央検査科1)◎小浦 麻由1)、平川 唯1)、岡田 麻佑1)、源川 華1)、鈴木 翔子1)、吉野 香織1)、南雲 裕次1)、高山 好弘2)◎小浦 麻由1)、平川 唯1)、岡田 麻佑1)、源川 華1)、鈴木 翔子1)、吉野 香織1)、南雲 裕次1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ TMGあさか医療センター1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ TMG あさか医療センター1)、TMG 本部 臨床検査部2)当院における超音波ガイド下マンモトーム生検の実施報告右陰嚢内に発生した脂肪芽腫の一例生理EntryNo. 27生理EntryNo. 50~検診乳房超音波カテゴリー分類を踏まえて~生-15(10:30~11:00)生-16(10:30~11:00)

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