埼臨技会誌 Vol67
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連絡先:048-773-1111(内線2250)当院における心臓超音波検査の現状と課題心臓超音波検査における緊急報告運用の見直しし約3倍に増加していた.術前スクリーニング検査実施件数のうち全体の8%に中等度以上の弁膜症や拡張障害,心筋症,肺高血圧症,虚血性心疾患,左室駆出率(以下EF)低下が認められた.そのうち半数に手術施行し,40%が手術前に循環器内科に紹介され,8%が手術中止となった.【考察】内科系の診療科から検査依頼が増加している要因として,リアルタイムに経過観察しやすい点が挙げられる.外科系の診療科では手術件数が増加していることが影響していると考える.超音波での心機能評価の重要性も高まっており,今後も検査依頼数は増加し続けると予測されるため,技師の確保と術前専用の予約枠を新設することが必要とされる.また,中等度以上の異常所見を認めた場合においても手術が施行される要因はEFを重視している傾向がある.そのため検査後の経過観察に繋がるレポート作成を検討することが今後の課題である.連絡先:048-965-2221 内線:2261③医師が電子カルテに報告後の対応について記載する.④緊急報告実施記録用紙を作成し,報告日時,報告内容,報告した医師名などを記録する.【結果】運用方法を変更したことで緊急報告の流れを確立させ, いつ誰が誰に対して報告したか,依頼科で必要に応じて専門科にコンサルテーションしているかなど確認が可能となった.また,報告を受けた医師のみでなく他の医師もカルテ上で情報共有が可能となった.【結語】異常所見を電子カルテに記載することで,報告を受けた医師だけではなく,診療科での情報共有も容易となった.しかし,医師の診断と検査結果の相違を無くすことは困難であり,正確な検査結果を臨床に提供出来るよう研鑽が必要不可欠だと考える.今後も患者が適切な治療を受けられるよう努めていきたい.【はじめに】非侵襲的に繰り返し行える経胸壁心臓超音波検査(以下TTE)は,高齢化に伴い検査件数が年々増加している.今回現状と課題を把握するため,過去11年間に実施したTTEを後方視的に調査したので報告する.【対象・方法】2009年1月から2019年12月に当検査室にてTTEを実施した13,710件を対象に診療科別検査件数を集計した.そのうち生理機能検査システム導入後の2014年と2019年について依頼内容を比較した.また近年増加傾向にある術前TTE患者における検査後の転帰について調査を行った.【結果】2019年の検査件数は2009年と比較し約800件増加していた.診療科別検査件数の推移は,循環器内科では変化は見られなかったが循環器内科以外では顕著な増加を示していた.特に外科,呼吸器科,消化器科,内科では11年間に各科4倍以上増加していた.2014年と2019年の依頼内容を比較すると循環器内科は心電図異常,弁膜症,虚血性心疾患が全体の5割を占めており,内訳に変動はなかった.循環器内科以外では術前スクリーニング検査依頼が最も多く,2014年と比較【はじめに】心臓超音波検査は,心筋梗塞や感染性心内膜炎,大動脈解離など様々な異常所見を見つける重要な検査である.そして患者の生命に危険を及ぼす所見を見つけた際に迅速な対応が必要となる.当院では心臓超音波検査において緊急性があると判断したものは依頼医へ電話報告し,医師の判断を伺っていた.しかし,治療方針に支障は無かったが,対応が遅れた事例が生じた.その為,運用の見直しを行ったので報告する.【変更前の運用】心臓超音波検査で報告所見を見つけた際,報告書に記載し依頼医に電話報告を行っていた.しかし,緊急報告マニュアルには,報告手順や依頼医不在時の対応など不明確な部分があった.【変更後の運用】報告手順を明確にする為に,緊急報告マニュアルの内容を以下のように変更した.①検査者が依頼医に電話報告を行う.依頼医が不在で連絡がつかない場合は当該科上級医師に報告する.②検査者が電子カルテに異常所見と報告した医師名を記載する.70◎酒井 麻衣1)、水野 さよか1)、荻原 奈美1)、田立 さやか1)、熊谷 佳奈江1)、吉原 靖之1)、渋谷 賢一1)◎酒井 麻衣1)、水野 さよか1)、荻原 奈美1)、田立 さやか1)、熊谷 佳奈江1)、吉原 靖之1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)◎溝口 夏代1)、小宮山 栞1)、関根 志帆1)、小林 由佳1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)◎溝口 夏代1)、小宮山 栞1)、関根 志帆1)、小林 由佳1)、吉成 一恵1)、菊池 裕子1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院1)生理EntryNo. 9生理EntryNo. 60心臓超音波検査における緊急報告運用の見直し当院における心臓超音波検査の現状と課題生-9(10:00~10:30)生-10(10:00~10:30)

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