【はじめに】反復睡眠潜時検査(以下MSLT)は過眠症であるナルコレプシーの診断に用いられる.ナルコレプシーの確定診断にはMSLTが必要であることから当院では2015年よりMSLTを開始した.今回当院におけるMSLTの現状について報告する.【運用・検査手順】MSLTの実施の手順は,終夜睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)実施後に続けてMSLTを施行する.MSLT当日は,午前9時頃より2時間間隔で計5回の睡眠検査(NAP)を行う.各NAP中は検査技師が別室にて脳波をモニタリングし睡眠潜時,レム睡眠潜時を計測する.すべてのNAP終了後に,平均入眠潜時と,平均REM睡眠潜時,REM睡眠出現回数を算出しMSLTの結果報告とする.【検査状況と結果】検査件数は2015年5例,2016年15例,2017年7例,2019年1例,2020年2例で合計30例であった.睡眠障害国際分類(ICSD-3)よりその基準を満たし症状などから【はじめに】長時間ビデオ脳波検査(videoelectroence-phalography:VEEG)は脳波とビデオを長時間(当院では1~5日間)に渡り記録することで,発作症状および発作時脳波を補足することができる専門性の高い検査である.これにより,てんかんと非てんかんの鑑別,てんかん焦点の診断,外科治療適応の検討が可能となる.国内ではVEEGの発作捕捉率についての検証はあまり行われていないため,当院精神科病棟で行ったVEEGの発作捕捉率や,有効性について過去の文献と比較,検証した.【対象・方法】2018年5月~2020年4月にかけて,当院精神科病棟でVEEGを行った患者を対象とした.VEEG判読はてんかん専門医と脳波技師で共同して行った.年齢,性別,減薬の有無,検査中の受傷の有無,発作補足の有無,診断,手術適応の有無について,診療録を用いて後方視的に調査を行った.【結果】検査件数は75件であった.平均年齢は37.4才±18.3,男女比は1:0.6,検査を行った75名のうち何らかの発作が記録されたのは52名(69.3%)であり,そのうち43名(82.7%)がてんかん性発作, 9名(17.3%)が非てんかん性発作であった.最終MSLT陽性,すなわちナルコレプシーと診断された例は9件であった.【問題点および対策】1)患者の協力:検査前や当日の注意事項,禁止項目があり,患者からの十分な協力が得られないとできない検査であるため,検査技師による検査説明を実施している.2)検査担当技師の育成:MSLTは正確な睡眠ステージ判定が求められる。人材育成は,中期・長期の計画的なトレーニングを実施することが大切である。当院は,①脳波検査,②PSG解析,③MSLTの順序でトレーニングを行い人材育成に努めている.【まとめ】MSLTはナルコレプシーの確定診断に必要な検査であり,診断や治療の遅れが原因で社会生活に支障をきたすため早期発見と適切な対処が求められる.技師として,正確および信頼のある検査結果を提供し,診療に貢献するため,患者からの協力を得る工夫と努力,そして,人材育成が重要である. 連絡先 048-965-1111(内線3222)診断はてんかん56名,非てんかん13名,診断保留6名であった.また手術適応が検討された患者は6名であり,そのうち3名が外科治療を受けた.検査のために減薬した患者は32名であり,そのうち22名(69%)で発作が記録された.検査中の受傷およびてんかん重積の発生はなかった.【考察】海外では,VEEGが実施された70~85%で発作が記録されたと報告されている.一方,当院VEEGでも発作捕捉率は69.3%と同程度の結果になり,実際に手術療法の適応が検討された6名中3名(50%)で外科治療に踏み切ることができた.VEEGの結果,非てんかんと診断された13名では,その後の経過観察でも発作は認めておらず,鑑別診断においても有効である可能性が示唆された.最後に従来から指摘される検査時の事故発生については,当院では十分な環境整備を行うことで,全ての症例で安全に検査を実施することが可能であった. VEEGはてんかんの鑑別診断に非常に有意義な検査であると考えた. 連絡先:0492-76-1445当院の反復睡眠潜時検査(MSLT)の現状についててんかん診断における長時間ビデオ脳波検査の検証68◎大熊 ちひろ1)、富田 順子1)、園部 晴花1)、内山 健二1)、中島 あつ子1)、党 雅子1)、春木 宏介1)◎大熊 ちひろ1)、富田 順子1)、園部 晴花1)、内山 健二1)、中島 あつ子1)、党 雅子1)、春木 宏介1)獨協医科大学埼玉医療センター1)獨協医科大学埼玉医療センター1)◎塚越 直人1)、友部 未来1)、安田 喜内1)、諸貫 孝久1)、武内 信一1)、森吉 美穂1)、渡邊 さつき1)、前田 卓哉1)◎塚越 直人1)、友部 未来1)、安田 喜内1)、諸貫 孝久1)、武内 信一1)、森吉 美穂1)、渡邊 さつき1)、前田 卓哉1)埼玉医科大学病院1)埼玉医科大学病院1)当院の反復睡眠潜時検査(MSLT)の現状についててんかん診断における長時間ビデオ脳波検査の検証生理EntryNo. 29生理EntryNo. 34生-5(10:00~10:30)生-6(10:00~10:30)
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