生 理ABR検査は両耳ともⅤ波の振幅低下が見られた.後日,GQ1bIgG抗体(+)の結果が提出され,Bickerstaff型脳幹脳炎の診断となり,ステロイドパルスや単純血漿交換(PE)の治療を開始した.第16〜19病日の脳波検査では振幅20-40μVのθ波(7-8Hz),体性誘発電位(SEP)でN20導出(+),ABR検査でのⅤ波の振幅が前回値に比べ大きくなった.また瞬目反射で両目ともR1,R2反応(+)となった.第36病日には神経伝導検査でH波(+)となった.【考察】 今回,患者は意識障害・人工呼吸器の装着と症状連絡先048-782-6902(直通)ABI正常例における皮膚灌流圧検査の重要性経過を追うことができたBickerstaff脳幹型脳炎とその電気生理学的検査所見<はじめに>近年、高齢化や糖尿病などの生活習慣病の増加に伴い、末梢動脈疾患(以下PAD)は増加傾向である。PADリスクファクターには、糖尿病、慢性腎臓病、脂質異常症、高血圧などがあり、心筋梗塞や脳梗塞を合併しやすい為、早期発見が重要である。PADの評価には、足関節上腕血圧比(以下ABI)や皮膚灌流圧検査(以下SPP)が用いられている。これらは相関性があるといわれているが、ABIが正常であれば、SPPを追加検査しないことも少なくない。しかし足首以下での血管病変やABI偽高値などがあれば、乖離する可能性があるため今回、足首以下での血管病変早期発見を目的に、PADリスクファクターである糖尿病に着目し、検討を行った。<対象・方法>対象:2016年12月~2018年2月に当院でABI及びSPPを実施した患者51名。(ABI低下例は除外。年齢33~95歳、平均66.4歳。)方法:患者51名のうち、既往歴を含む糖尿病群(26件)と非糖尿病群(25件)についてABI正常かつSPP低値例(カットオフ50mmHg)を調査した。また、それぞれの群に対し【はじめに】 Bickerstaff脳幹型脳炎(BBE)は「意識障害,外眼筋麻痺,運動失調を中核症状とする,中枢神経疾患」と言われており,Guillan-Barre症候群類縁疾患であるFisher症候群と共通の病態をもつことが明らかにされている.今回,当院で経過を追えた1症例を報告する.【症例】患者は32歳男性,既往歴はなし.主訴はめまい・嘔吐,四肢の脱力,意識レベルの低下.入院時の検査所見は,頭部MRI異常なし, 37.5℃の発熱,眼球運動制限あり,構音障害,不穏,四肢の運動不良.髄液検査異常なし.採血ではWBC15280/μlと高値だったが,その他炎症反応は認められなかった.経過より自己免疫性の脳幹脳炎を疑った.第1病日に行った脳波検査(日本光電EEG-9100)では,比較的高振幅なθ波(6-7Hz)を背景として3-4Hzのδ波が混入.末梢神経伝導検査(日本光電MEB-2312)では,運動神経・感覚神経ともに伝導速度,活動電位の振幅,潜時異常なし.尺骨・脛骨神経でF波消失(-).右ヒラメ筋でH反射消失(-),瞬目反射では,両目ともR1,R2反応(-),体性誘発電位(SEP)(日本光電MEB-2312)は頭皮上N20導出(-).SPP平均値について調査・比較を行った。<結果>ABI正常かつSPP低値例は糖尿病群が23%(6件)、非糖尿病群が12%(3件)であった。SPPの平均値は糖尿病群66.0mmHg、非糖尿病群78.4mmHgであった。糖尿病群のSPP値は、非糖尿病群に比べ有意に低値となった(P<0.05)。<考察・結語>ABI正常かつSPP低値例での糖尿病群検出率は高くないが、非糖尿病群での検出率は低く、非糖尿病群でのSPPは身体所見や症状が無い場合、追加検査の有用性は低いと思われる。また糖尿病群においてSPP平均値が低く、有意差も認められた事から、ABIが正常であっても、糖尿病の疑いや既往歴があれば、SPPを追加検査することで足首以下の血管病変早期発見に繋がることが示唆された。今回は糖尿病に着目し検討を行ったが、他のPADリスクファクターについても検討を行っていきたい。連絡先:048-442-1111(内線2824)が悪化したが,治療により経口摂取・発声の可能を経て退院された.症状が改善されるにつれて,SEP,ABR,瞬目反射,H波などの波形を導出することができた.症状の似た症例として,ムンプス脳炎がある.当院で経験したムンプス脳炎の検査所見は,SEP頭皮上N20(+)であり,またABRのⅤ波の振幅も正常であった.脳幹脳炎を疑った際の鑑別診断にSEP ,ABRも有用ではないかと考えられた.67◎小林 ほなみ1)、相田 裕人1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)◎小林 ほなみ1)、相田 裕人1)、塚原 晃1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 戸田中央総合病院1)、TMG 本部 臨床検査部2)◎茂呂 麻里子1)、浅見 李奈1)、高橋 真由美1)、浅子 瑞穂1)、桐生 ななえ1)、小野口 晃1)、渡野 達朗1)◎茂呂 麻里子1)、浅見 李奈1)、高橋 真由美1)、浅子 瑞穂1)、桐生 ななえ1)、小野口 晃1)、渡野 達朗1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)経過を追うことができたBickerstaff脳幹型脳炎とABI正常例における皮膚灌流圧検査の重要性その電気生理学的検査所見生理EntryNo. 61生理EntryNo. 17生-3(10:00~10:30)生-4(10:00~10:30)
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