埼臨技会誌 Vol67
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当院で発作性房室ブロックが疑われた1症例体性頻脈症候群(POTS)の症状出現と血圧心拍反応の検討連絡先0480-93-0661(内線235)連絡先 048-601-2200(内線2550)【はじめに】発作性房室ブロックとは,心原性失神の原因疾患であり,突然に発症し,洞停止が数十秒認められるものをいう.完全房室ブロックとは異なり,2度房室ブロックの区分に属するといわれているが,危険度は完全房室ブロックよりも高いといわれている.今回当院で行ったホルター心電図検査から,発作性房室ブロックが疑われた1症例について報告する.【症例】70代 男性.既往歴 脳梗塞 高血圧 胆管炎 急性膵炎.2014年に意識消失発作があり,他院にて脳梗塞と診断.2018年当院にて胆管炎,急性膵炎の治療歴あり.その後も「頭から血の気引くような感じがした後,力が抜けて倒れる」という訴えが度々あり,精査目的にて2019年11月18日当院循環器内科にコンサルトされた.【経過】12誘導心電図にて,正常洞調律,PR間隔254ms,1度房室ブロックを示した.ST-Tに虚血性変化は認められなかった.上室期外収縮,心室期外収縮はそれぞれ全体の0.1%以下であり,他不整脈はなかった.心臓超音波検査にて左室壁運動正常,左室駆出率56%,軽度大動脈【はじめに】小児起立性調節障害(orthostatic dysregulation以下OD)の検査として,当院では連続血圧計Finometer MIDIを用いた起立試験(以下OD検査)やヘットアップチルト試験(以下HUT試験)を行っている.ODには4つのサブタイプ(起立直後性低血圧,体位性頻脈症候群,血管迷走神経性失神,遷延性起立性低血圧)があり,起立直後性低血圧の割合が多いと言われているが,当院では体位性頻脈症候群(以下POTS)の割合が多く,全体の約58%が基準を満たした.今回,POTSの基準を満たした患者の検査中の症状出現の有無と,起立直後最低血圧など血圧心拍反応に関連があるか検討したので報告する.【対象及び方法】2018年8月1日~2020年4月31日の期間でOD検査を行った146名の内,日本小児心身医学会ODガイドラインのPOTSの診断基準を満たした85名(内,19名が検査中に症状出現)を対象とした.検討は起立直後最低血圧の他、血圧回復時間、脈拍増加数の3項目について,症状出現の有無で2群に分けてマン・ホイットニーのU検定を用いて値を比較した.弁逆流,軽度肺動脈弁逆流,大動脈弁右冠尖石灰化を認めた.その他有意な所見は見られなかった.    され、他院へ紹介となった.【まとめ】今回ホルター心電図検査にて意識消失を伴う発作性房室ブロックを記録することができた.その結果患者へ至急連絡し,予定受診日より早く来院,より早く他院へ紹介しペースメーカー植え込みを行うことができた.発作性房室ブロックは,長時間の心停止を認め,頻発する失神や突然死の原因となる重篤な不整脈である.診断にはホルター心電図検査が有用であるが,今回改めて重要性を認識した.【結果】症状出現群の起立直後最低血圧が若干低い傾向がみられたが有意差はなかった.血圧回復時間,脈拍増加数にも同様に有意差はなかった.【結語】検査中の症状出現と起立直後最低血圧の大きさに関連は無く,他の項目にも特別な傾向はみられなかった.検査者は症状出現時の対応を徹底し,患者の状態を十分に把握したうえで検査を行うと共に,検査中の血圧心拍反応や患者の様子に注意して検査を行うことが重要だと思われる.発表当日はOD検査とHUT試験を行った重症POTSの症例と合わせて報告する予定である.11月21日~22日ホルター心電図検査実施.結果約5秒の洞停止を伴う発作性房室ブロックに始まり,2:1房室ブロックや高度房室ブロックが認められた.また洞停止が12回見られ,最大洞停止時間は10.84秒だった.それに付随して患者自覚症状も認めた.ペースメーカー適応と診断66◎太田 舞1)、片桐 佳紀1)、大塚 香織1)、増田 章子1)、齋藤 綾1)◎太田 舞1)、片桐 佳紀1)、大塚 香織1)、増田 章子1)、齋藤 綾1)医療法人社団哺育会 白岡中央総合病院1)医療法人社団哺育会 白岡中央総合病院1)◎山﨑 園子1)、藤波 啓子1)、西野 友里1)、鈴木 ななみ1)、榎本 英雄1)、神嶋 敏子1)◎山﨑 園子1)、藤波 啓子1)、西野 友里1)、鈴木 ななみ1)、榎本 英雄1)、神嶋 敏子1)埼玉県立小児医療センター1)埼玉県立小児医療センター1)生理EntryNo. 52生理EntryNo. 18体性頻脈症候群(POTS)の症状出現と血圧心拍反応の検討当院で発作性房室ブロックが疑われた1症例生-1(10:00~10:30)生-2(10:00~10:30)

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