43抄 録 当救命救急センターは、埼玉県で2カ所の高度救命救急センターであり、3カ所の重度外傷センターでもあります。その役割を果たすべく、ドクターカーによる病院前診療、救急外来の初期診療、集中治療、手術や血管内治療、術後管理など幅広い救急医療を提供しています。 今回は、ドクターカーによる病院前診療と院内救急診療を紹介し、予測生存率12%と致命的な腹部刺創の症例が社会復帰に至る経過について映像を交えて振り返ってみます。【症例】 26歳男性 22時頃 両側腹部刺創、意識ありの通報 現場から当院まで31km 4分後 ドクターカー出発(医師2名、看護師1名)7分後 接触前連絡にて腸管脱出確認→病院へ第1報→外傷外科医の参集21分後 搬送途上で患者接触→病院へ第2報:ショック、腹腔内出血(FAST陽性) 24分後 心肺停止(PEA)、蘇生開始(アドレナリン1A)27分後 心拍再開 左前側方開胸、大動脈遮断施行36分後 病院到着 搬入同時に開腹術、異型輸血開始 Day2 血尿 腎損傷→血管内止血術(TAE)Day4 手術(第2期):ガーゼ除去Day11 抜管Day31 独歩退院 このように、救命に繋がる迅速な対応を行うには、様々な部門のご協力ご理解が不可欠です。→大量輸血プロトコール発動診断:脾損傷Ⅲa 肝損傷Ⅲa 左横隔膜損傷 左胸壁損傷術式:脾摘術、肝縫合、ガーゼパッキング、左開胸止血術
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