埼臨技会誌 Vol66
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モノラルビートが昼間睡眠中の睡眠構造及び体温に与える影響 【はじめに】 女性の性周期に伴う体温リズムは, 睡眠と密接に関わっている. 特に体温の高い黄体期では, 眠気が強い一方で, 中途覚醒の増加, レム睡眠や徐波睡眠が減少するなど睡眠の質の低下が報告されており, 月経前症候群の症状の一つとして女性が社会生活を送る上での大きな問題となっている. これは女性ホルモンであるプロゲステロンの影響で熱放散反応が阻害され体温が上昇することで, 入眠時の円滑な体温低下が妨げられることが原因の一つとされている. 身体運動を行うと熱放散反応が促進するため, 身体運動により女性の黄体期における睡眠の質が改善される可能性が考えられるが,この関連性について生理学的に検討した研究はほとんどない. そこで本研究では,身体運動による女性の卵胞期および黄体期における熱放散反応の違いが睡眠構造にどう影響するのか検討した. 【対象】 実験の説明後に書面の同意が得られた健康な女子大学生10名(平均年齢21.3歳)を対象とした. 本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を受けている. 【方法】 実験は非運動条件(卵胞期), 卵胞期運動条件, 黄体期運動条件の実験をクロスオーバーで行った.実験当日は, 【はじめに】 音楽にはその種類や状況, 個人の好みなどによりストレス軽減や集中力向上, 心身の疲労回復やリラクゼーション効果, 入眠効果などがあり, 作業用BGMや熟睡用BGMなどの音源も多数発売されている. 中でもバイノーラルビートと呼ばれる左右の耳から異なる周波数の音を聴くことでヒトの精神状態, 脳波成分, 覚醒度や睡眠に影響を与える現象についてさまざまな研究が試みられている. しかしながら, 特に睡眠への効果について客観的指標を用いて生理学的に評価した研究は少ない. さらに, バイノーラルビートはイヤホン又はヘッドホンを必要とすることから, より日常生活に適したものが求められる. そこで本研究では, バイノーラルビートで生じる左右の揺らぎの音をあらかじめミキサーでモノラル化したモノラルビートを用いて, 昼間睡眠中の睡眠構造及び体温へ与える効果を検討した. 【対象】 実験の説明後に書面の同意が得られた健康な大学生13名を対象に,室温を一定温度に設定したシールドルームにおいてモノラルビート条件と対照条件の計2日間の実験を行った. 女性の卵胞期および黄体期における運動が昼間睡眠中の皮膚温・睡眠構造に与える影響 皮膚温測定に必要な前額, 鎖骨下, 手背, 足背のセンサーおよび耳(鼓膜温)の温度センサー, 睡眠ポリグラフ記録に必要なセンサー類を装着後, 運動条件では50%HRMaxのエルゴメータを用いた運動を40分間, 非運動条件では40分間の読書を行ってもらい, その後1時間の睡眠ポリグラフ検査を施行した. 運動前後, 就床時, 起床時に気分, 熟睡感などの主観的評価を行った. 睡眠構造については国際判定基準に従って30秒毎に睡眠段階判定を行い, 各睡眠指標を算出した.皮膚温と鼓膜温を連続記録し,体温変動及び遠位皮膚温と近位皮膚温の温度差から熱放散指標であり且つ入眠評価指標であるDPG(distal-proximal skin-temperature gradient)を算出した. 【結果とまとめ】 両運動条件では非運動条件に比べ, 手足の皮膚温およびDPGが運動中より睡眠区間終了まで有意かつ連続的に上昇した. 鼓膜温は条件間で有意差がなかった. 非運動条件に比べ運動条件では徐波睡眠量が増加した.卵胞期および黄体期の条件間での差異,主観的評価との関連性についても検討する. 連絡先:048(971)0500 内線4329 本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を受けている. 【方法】 手背, 足背, 前額, 鎖骨下と耳(鼓膜温)に温度センサーを装着し, 睡眠ポリグラフ記録に必要な電極等を装着後, 0.15Hzの超低周波モノラルビートを微小音量で被験者に聴かせて睡眠を促し睡眠ポリグラフ記録を行った. 睡眠前と睡眠後に被験者には気分や眠気などのアンケート調査を行った. 得られた睡眠データについて国際判定基準に従い30秒毎に睡眠段階判定を行い,各睡眠指標を算出した. 鼓膜温と皮膚温を連続記録し,体温変動及び遠位皮膚温と近位皮膚温の温度差から入眠評価指標であるDPG(distal-proximal skin-temperature gradient)を算出した. 【結果とまとめ】 モノラルビート条件では,対照条件と比較して入眠潜時が短縮する傾向が見られた. バイノーラルビートでは徐波睡眠量が増加することが報告されており,本研究でも睡眠構造や体温,主観的評価との関連性を検討する. 連絡先:048(973)4764 ◎伏見もも1)、細江みずき1)、門岡あかり1)、菅原海莉1)、飯島竜星1)、有竹清夏1)2)◎伏見 もも1)、細江 みずき1)、門岡 あかり1)、菅原 海莉1)、飯島 竜星1)、有竹 清夏1), 2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科2) ◎細江みずき1)、伏見もも1)、飯島竜星1)、門岡あかり1)、菅原海莉1)、有竹清夏1)2)◎細江 みずき1)、伏見 もも1)、飯島 竜星1)、門岡 あかり1)、菅原 海莉1)、有竹 清夏1), 2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科2) 142学生演題学生演題学生-5(第8会場 13:38~14:05)学生-6(第8会場 13:38~14:05)女性の卵胞期および黄体期における運動が昼間睡眠中の皮膚温・睡眠構造に与える影響モノラルビートが昼間睡眠中の睡眠構造及び体温に与える影響

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