埼臨技会誌 Vol66
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条件では被験者は読書を40分間行った. どちらの条件もその後1時間の睡眠ポリグラフを施行した. 安静覚醒時から入眠過程(消灯後1, 3, 5, 7, 10分後, および睡眠段階1, 睡眠段階2)にかけて超音波測定にて前脛骨動脈の長軸断層を描出した. 被験者の入眠を妨げないよう配慮の上パルス・ドプラ法により収縮期最高血流速度(PSV:peak-systolic velocity)および最高血流速度到達に要する時間(acceleration time: AcT)を測定した. 運動または読書前後, 就寝時, 起床時に眠気・気分・熟睡感などの主観的評価を行った.国際判定基準に従って30秒毎に睡眠段階判定を行い,各睡眠指標を算出した. 統計解析はSPSS ver.24を用いて行い, p<0.05を有意水準とした. 【結果と考察】 非運動条件に比べ運動条件では, 運動時および消灯後より入眠にかけて前脛骨動脈のPSV値が増加した. さらに解析を重ね,睡眠深度との関連,アンケートによる主観的評価との関連性を検討し発表する. 連絡先:048(971)0500 内線4329 した。覚醒下にて試薬をカニューレより注入し、運動量の変化を記録した。 経時変化の有意差を検定する際には、試薬投与前後の運動量を対応のあるt検定で比較した。また、溶媒投与群と試薬投与群の運動量は対応のないt検定を用いて比較した。いずれの場合も有意水準は5%とした。 【結果】 BIBP3226を投与すると運動量が低下した。SB334867も同様に投与すると運動量が低下した。また、BIBP3226もしくはSB334867の投与群と溶媒投与群を比すと差を認めた。BIBP3226とSB334867を同時投与すると単独投与群よりも運動量抑制の増大を認めた。 【考察】 BIBP3226投与で運動量が低下したことより、NPYがNPY Y1受容体を介して運動を亢進することが示唆され、同様にSB334867投与で運動量が低下したことから、OrexinがOrexin 1受容体を介して運動を亢進することが示唆された。 ◎菅原海莉1)、飯島竜星1)、細江みずき1)、伏見もも1)、門岡あかり1)、北畠義典2)、有竹清夏1)2)◎菅原 海莉1)、飯島 竜星1)、細江 みずき1)、伏見 もも1)、門岡 あかり1)、北畠 義典2)、有竹 清夏1), 2) 埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科2)◎笹本美帆1)、吉田結衣1)、水谷諭史1)、藤原智徳1)◎笹本 美帆1)、吉田 結衣1)、水谷 諭史1)、藤原 智徳1) 埼玉医科大学保健医療学部臨床検査学科1)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1) 【緒論】 141【はじめに】 身体運動が睡眠に与える影響について様々な視点から検討されているが, 身体運動が睡眠時の動脈血流速度の変化にどのように影響するのかは殆ど明らかになっていない. 本研究では身体運動の有無によって, 睡眠中の脳波構造の変化とともに血管超音波を用いた動脈血流量に差が生じるのか否かを検討し, 睡眠中における動脈血流量の変化とともに運動との関連性を明らかにすることを目的とする. 【対象】 詳細な説明後に同意が得られた健常成人15名(平均年齢21.4歳)を対象とした.本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を受けている. 【方法】 実験は, 運動条件と非運動条件の2条件を1週間以上空けてクロスオーバーで計2日間行った. 室温23.5±1℃に調整した実験室で実施した. 被験者が来所後, 睡眠ポリグラフ記録に必要なセンサー類を装着後,運動条件では50%HRMaxのエルゴメータによる30分間の有酸素運動を行い,非運動中枢神経系に広範に投射する神経ペプチドであるNeuropeptide Y(NPY)は摂食亢進作用を示す神経ペプチドである。Orexinもまた中枢神経系に広範に投射し、摂食亢進や覚醒に関与する。NPYおよびOrexinはどちらも空腹時に分泌され、絶食にて発現が亢進することが知られている。また、NPYおよびOrexinを脳室内に投与することで摂食量が増加することも知られている。NPYの受容体は6種類存在し、Orexinの受容体は2種類存在する。そのうち、NPY Y1受容体とOrexin 1受容体は摂食亢進作用に深く関係している。本研究では、NPY Y1受容体アンタゴニストであるBIBP3226とOrexin 1受容体アンタゴニストであるSB334867をラットの第3脳室に投与することによって運動量に及ぼす影響について検討した。 【方法】 実験には、麻酔下にて腹腔内に運動量計測装置を埋め込み、第3脳室にカニューレを穿刺したラットを用いた。手術後十分な回復期間をおき、運動量計測装置を起動し運動量を計測身体運動が睡眠中の動脈血流量に与える影響 摂食促進ペプチドは行動を亢進する 連絡先:042(984)4818 学生演題学生演題学生-3(第8会場 13:10~13:37)学生-4(第8会場 13:38~14:05)身体運動が睡眠中の動脈血流量に与える影響摂食促進ペプチドは行動を亢進する

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