埼臨技会誌 Vol66
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【結果】 Neu3及びEGFRのmRNAレベルの発現量を定量RT-PCR法で症例でEGFRのTKドメインに変異を有する。また、同様に肺癌で発現が上昇する、形質膜シアリダーゼNEU3は細胞表層に多く局在するガングリオシドを良い基質として働き、EGFRシグナリングを破綻させることで、がん細胞の悪性形質を増強させていることが分かってきた。そこで今回は、肺癌で共に高発現するNEU3とEGFRに着目し、野生型のものとEGFR変異を有する肺腺癌細胞株を用いて、NEU3とEGFRの関係性とその役割について検討を行った。 【対象】 EGFR (Wild / mutant) 肺腺癌細胞株: A549 (Wild type) H1650 Δ746-750 (exon19) H1975 L858R (exon21) / T790M (exon20) 【方法】 A549/ H1650/ H1975の3種類の細胞株を用いて、定量RT-PCR法でNeu3とEGFRのmRNAレベルの発現を測定した。酸や酢酸を加えpHを低下させると、オレンジGの結合性が保持され細胞質の染色性が向上すると言われている。今回我々は、OG-6染色直後にリンタングステン酸や酢酸を加えpHを低下した染色結果と、通常のパパニコロウ染色(処理なし)の結果について比較検討した。 【方法】 喀痰の塗抹標本を作製し、パパニコロウ染色を実施した。この時OG-6染色直後に以下の処理を行い、染色結果を比較検討した。①前処理なし、②1%リンタングステン酸95%エタノールに1分間浸漬、③1%リンタングステン酸95%エタノールに1時間浸漬、④1%リンタングステン酸95%エタノール + 1% 酢酸に1分間浸漬、⑤1% 酢酸に1分間浸漬。 【結果】 OG-6染色直後にリンタングステン酸や酢酸を用いてもオレンジGやライト緑の染色性に明らかな変化を認めなかったが細胞質の透明感が低下した。また、エオジンに染まる細◎古川泳玉1)、山本晃司1)◎古川 泳玉1)、山本 晃司1) 埼玉医科大学保健医療学部臨床検査学科1)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1) 【はじめに】 肺癌ではEGFRが高発現し、その中でも腺癌では約50%の◎小高愛理1)、古谷津純一2)◎小高 愛理1)、古谷津 純一2) 恵済学園東武医学技術専門学校臨床検査科1)、獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科2)恵済学園 東武医学技術専門学校 臨床検査科1)、獨協医科大学埼玉医療センター 病理診断科2) 【はじめに】 パパニコロウ染色は、OG-6染色直後にリンタングステンその後、各種細胞を37℃、30minの条件下で酵素反応し、遊離シアル酸を蛍光誘導体化した後、HPLCを用いて検出した。 測定すると、Neu3の発現はA549と比べてH1650とH1975のEGFR変異を有する細胞で上昇が見られた。一方、A549はNeu3の発現は低いが、EGFRの発現では高い傾向を示した。また、興味深いことに、Wild typeに比べEGFR変異を有する細胞ではNEU3の酵素活性が亢進することがわかってきた。 【考察】 肺腺癌細胞のEGFR変異を有する細胞では、Neu3の発現とその活性が亢進する。特にEGFR-TKIに耐性を持つH1975で顕著なことから、Neu3の発現レベルは、肺腺癌のバイオマーカーになり得る可能性がある。 胞をほとんど認めず、細胞質が染色されていない扁平上皮細胞も確認された。 【考察】 OG-6染色直後にリンタングステン酸や酢酸に浸漬するとエオジンの染色性の低下と細胞質の透明感の低下を認めたのは、pHが酸性に傾くためオレンジGの染色性が強固に保持される一方、エオジン浸透の競合が抑制されるためエオジンに染色される細胞が減少したものと思われる。 酢酸は色素の競合を防ぐ選択的染色作用に効果がなかったことから、酢酸への浸漬は希薄であると考えられる。 リンタングステン酸に浸漬することにより、細胞質の透過性が弱くなったことは、重積した細胞を観察する細胞診検査に不利である。 以上のことより、今回の検討からリンタングステン酸による効果の有用性が明らかにならなかった。 連絡先:042(984)4818 連絡先:048(798)8123 肺腺癌における形質膜シアリダーゼの発現上昇とバイオマーカーとしての有用性の検討 リンタングステン酸を用いたパパニコロウ染色の染色結果の検討 139学生演題学生演題学病細-2(第6会場 13:10~13:37)学病細-3(第6会場 13:10~13:37)肺腺癌における形質膜シアリダーゼの発現上昇とバイオマーカーとしての有用性の検討リンタングステン酸を用いたパパニコロウ染色の染色結果の検討

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