埼臨技会誌 Vol66
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Bacteroides fragilisが保有するcfiAの迅速検出法の開発と、当院での保有率の検討 【結果】 本研究で開発したLAMP法では60分、超高速PCR法では約10分でcfiAを検出することができ、PCR法による検出結果と一致した。当院のBf臨床分離株(50株)の検討では、5株(10 %)がカルバペネム耐性であり、そのすべての株でcfiAを検出したが、上流にIS配列を有するBfはそのうち2株(40 %)であった。 【考察】 MBL産生Bfに対する迅速診断と抗菌薬による最適治療において、本研究で開発したcfiAの迅速検出法はいずれも有用な手段と考えた。また、カルバペネムへの耐性化について、IS以外の機序によるcfiAの耐性発現機構の存在が示唆された。 【結語】 迅速かつ簡易的にcfiAを検出できる検査系を構築した。 連絡先:049(276)1166 内線(2100) 【方法】 エタノール・蟻酸を用いた標準抽出法により調整したサンプルをMicroFlex LT mass spectrometer (Bruker Daltonik)を用いて同定した。製造者が推奨するEscherichia coli DH5a をクオリティーコントロールとして用いた。得られた結果を16SrRNA 遺伝子シークエンス解析による遺伝学的同定結果と比較評価する。 【結果・考察】 対象とした60株はMALDI-TOF MSによる同定の結果、34株はS. maltophilia、9株はS. maltophilia (Pseudomonas beteli)、17株はS. maltophilia (Pseudomonas hibiscicola) と同定され、3つのグループに分類された。 さらに16SrRNA 遺伝子シークエンス解析による同定を進め、遺伝学的な背景を明らかにする予定である。 連絡先:048(973)4727(直通) 【はじめに】 カルバペネム系抗菌薬低感受性Bacteroides fragilis(Bf)が国内で増加している。耐性化のメカニズムに、メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)をコードするcfiA遺伝子の存在が報告されていることから、LAMP法ならびに超高速PCR法を用いたcfiAの迅速検出法を構築し、その有用性を検討した。 【方法】 cfiA が存在する場合に反応が進行するように、LAMPならびにPCRプライマー・セットを新たに設計した。反応の至適化には人工合成遺伝子を用い、特異性の検証には22菌種の標準株を用いた。次に、当院で2016年以降に血液培養から分離されたBf臨床分離株(50株)と愛知医科大学から譲渡を受けたBf臨床分離株(15株)から抽出したDNAを用い、LAMP法と超高速PCR法によるcfiA検出を試みた。検出結果について、PCR法ならびにナノポアシーケンサー(MinION)によるシーケンス解析結果と比較検証した。最後に、当院での臨床分離株におけるcfiAならびに挿入遺伝子(IS)の保有頻度を明らかにした。 【はじめに】 Matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry (MALDI-TOF MS)による菌種の同定が臨床検査に導入され、すでに 10 年が経過しようとしている。使用施設も年々増加している。この手法は短時間・低コストで遺伝学的手法による同定結果と同等の結果を得ることが可能であり、迅速同定法として注目されている。 様々な菌種に対してMALDI-TOF MSによる同定の評価が行われているが、日和見感染の原因菌として重要なStenotrophomonas maltophilia については、MALDI-TOF MSによる同定の評価が十分行われていない。この現状を受け、本研究ではその評価を行った。 【対象】 生化学的手法により同定された血液培養由来S. maltophilia 60株を対象とした。 ◎小野寺梓1)、大金佳菜2)、小棚雅寛2)、河村亨2)、今井一男3)、樽本憲人3)、前﨑繁文3)、前田卓哉2)◎小野寺 梓1)、大金 佳菜2)、小棚 雅寛2)、河村 亨2)、今井 一男3)、樽本 憲人3)、前﨑 繁文3)、前田 卓哉2) 埼玉医科大学保健医療学部臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院中央検査部2)、埼玉医科大学病院感染症科・感染制御科3)埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科1)、埼玉医科大学病院 中央検査部2)、埼玉医科大学病院 感染症科・感染制御科3) ◎宇佐見彩香1)、金井塚佳奈子1)、櫻井杏子1)、武井愛里咲1)、村井美代1)、岸井こずゑ1)◎宇佐見 彩香1)、金井塚 佳奈子1)、櫻井 杏子1)、武井 愛里咲1)、村井 美代1)、岸井 こずゑ1) 埼玉県立大学健康開発学科検査技術科学専攻1)埼玉県立大学 健康開発学科 検査技術科学専攻1) MALDI-TOF MSによるStenotrophomonas maltophilia同定評価 Stenotrophomonas maltophilia同定評価137学生演題学生演題学微-3(第3会場 13:50~14:35)学微-4(第3会場 13:50~14:35)Bacteroides fragilisが保有するcfiAの迅速検出法の開発と、当院での保有率の検討MALDI-TOF MSによる

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