【はじめに】 エクソソームは細胞から分泌される直径50～150 nmの顆粒状の物質で、その表面は細胞膜由来の脂質、蛋白質を含み、内部には核酸や蛋白質など細胞内の物質を含んでいる。 エクソソームは生体内のほとんどの上皮細胞から分泌されており、尿中にもエクソソームが存在している。 健常者の尿エクソソームは、以前ハウリーらが、超遠心を用いるエクソソーム分離法で、随時尿からエクソソームを分離し、その後二次元電気泳動法、質量分析法で解析している。しかし、超遠心機や質量分析装置は非常に大型の装置でかつ高価であり、操作時間もかかる方法であるため、臨床の場での応用には向いていない。 そこで、本研究ではキットを用いて簡便に尿エクソソームを単離し、尿エクソソームに含まれる蛋白質を解析することを目的とした。 【対象】 同意の得られた本学検査技術科学専攻の学生の随時尿を用いた。 【はじめに】 エクソソームは細胞から分泌される直径50～150 nmの顆粒状の物質で、その表面は細胞膜由来の脂質、蛋白質を含み、内部には核酸や蛋白質など細胞内の物質を含んでいる。 エクソソームは生体内のほとんどの上皮細胞から分泌されており、尿中にもエクソソームが存在している。 尿エクソソームは由来組織が糸球体、尿細管、集合管、尿管、膀胱、精巣、尿道のみであり、由来細胞の種類が少なく解析が容易であると考えられている。さらに、血液に比べて尿は試料を多く採取できるため、比較的多量のエクソソームを回収できる。加えてエクソソームの構造として、リン脂質の二重膜に覆われていることは、尿細管での蛋白質分解に関する様々な因子からの回避につながっていると言われている。そこで本研究では、尿エクソソームに含まれる蛋白質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で解析を行ったところ、2，3の知見が得られたので報告する。 【対象】同意の得られた本学検査技術科学専攻の学生の随時尿を用いた。 ◎阪野汐菜1）、北原早紀1）、白田未来1）、久保田亮2）、酒井伸枝2）◎阪野 汐菜1)、北原 早紀1)、白田 未来1)、久保田 亮2)、酒井 伸枝2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻1）、埼玉県立大学保健医療福祉学部2）埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学 保健医療福祉学部2) ◎白田未来1）、北原早紀1）、阪野汐菜1）、久保田亮2）◎白田 未来1)、北原 早紀1)、阪野 汐菜1)、久保田 亮2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科検査技術科学専攻1）、埼玉県立大学保健医療福祉学部2）埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学 保健医療福祉学部2) エクソソーム単離キットを用いた尿エクソソームに含まれる蛋白質解析の検討 【方法】 対象の尿についてTotal Exosome Isolation Reagent (from urine)キット (Invitrogen)を用い、エクソソームを単離した。エクソソーム単離後、Exosome Resuspension Bufferを用い、再懸濁化した液を試料とした。尿中蛋白質及び尿エクソソーム中蛋白質の濃度は銀染色液ドットブロット法を行った。その後セルロースアセテート(セア)膜電気泳動を行い、泳動後高感度銀染色液キット(常光)を用いて染色した。 【結果】尿エクソソーム中蛋白質濃度は0.2～0.6mg/dLであり、尿中蛋白質濃度より50倍程度低い濃度であった。次にセア膜電気泳動を行ったところ、尿中蛋白質の電気泳動像と尿エクソソーム中蛋白質の電気泳動像は異なっていた。 【まとめ】 キットを用いることで簡便に尿エクソソームを単離でき、エクソソームに含まれる蛋白質を解析できることが示唆された。 連絡先 048-973-4799 【方法】 対象の尿についてTotal Exosome Isolation Reagent (from urine)キット (Invitrogen)を用い、エクソソームを単離した。エクソソーム単離後、Exosome Resuspension Bufferを用い、再懸濁化した液を試料とした。尿中蛋白質及び尿エクソソーム中蛋白質の濃度は銀染色液ドットブロット法を行った。自作の12.5%ゲルを用いSDS-PAGEを行った。泳動後、銀染色液キットで染色した。 【結果】 今回の検討では健常者尿を用いたが、今後、腎臓病患者尿のエクソソームと比較して腎疾患のバイオマーカーを検出していきたいと考える。 連絡先 048-973-4799 SDS-PAGE法を用いた尿エクソソームに含まれる蛋白質の解析 SDS-PAGE法で解析したところ、尿中蛋白質の電気泳動像と尿エクソソーム中蛋白質の電気泳動像は異なっていた。尿エクソソーム中蛋白質のうち、45 kDa、28 kDa、18 kDaは特徴的な蛋白質バンドであった。 【まとめ】 133学生演題学生演題学般-1（第7会場 9:30～09:57）学般-2（第7会場 9:30～09:57）SDS-PAGE法を用いた尿エクソソームに含まれる蛋白質の解析エクソソーム単離キットを用いた尿エクソソームに含まれる蛋白質解析の検討
元のページ ../index.html#135