埼臨技会誌 Vol66
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チーム医療~当院検査科が出来ること~陰性,ヘモグロビン尿(+)であった.輸血は実施しておらず酸素投与と保温により経過観察となった.転院後Hbは4.7g/dlまで低下したが溶血所見,Hbも7.7g/dlまで改善し退院となった.【考察】本症例は以前より貧血の経過観察の対象となっていた.今回は顔色不良の為採血を実施.前回値と大きく異なり高度貧血とLDHの異常高値を認め,鉄欠乏性貧血以外の貧血疾患の可能性が考えられた.本例は溶血性貧血の疑いであった.当院は小児科で入院の必要がある場合,他院に紹介し転院する必要がある.そのため,迅速に検査科から情報提供し診断の判別に必要な追加検査を提案しなければならない.当院検査科で重症疾患を経験することはほとんどなく,出来る検査項目も限りがあるが,臨床側,検査科双方の情報を共有し更に,疾患の知識を多く得ることでチ-ムの一員として診断の一助となる情報を提供できるようにしたい.        連絡先 検査科048-444-7425(直通)【病棟患者への対策】10時に臨床検査技師が訪室し、患者の前処置の状況の確認を行うことと、状況により服用の追加が必要な場合は、臨床検査技師が患者に説明を行い服用の追加を促す。また、看護師の教育として排便スケールを看護師と共に確認を行う。次に情報共有のために前処置の状況を電子カルテに記載することを開始した。【結果と今後の展望】試験運用ではあるが、医師からの評判は良く、検査もスムーズに進んだ。しかし、必ずしも病棟に行けておらず、安定した業務を行うにはマンパワーの確保が必要である。スタッフのレベルアップを図り、対応していく。今後、病棟に出向いた評価は、内視鏡医や病棟看護師へのアンケートを行い、振り返りを行う予定である。実際に病棟に出向いたことで採血などの検体採取、心電図、検査結果説明など行える業務が多いことに気付いた。今後も病棟に出向き、病棟に臨床検査技師がいる意義を見出していきたい。           連絡先04-2953-6611(内線1930)◎圓田 則子1)、埜村 直美1)、栗原 直美1)、二神 友絵1)、岡倉 彩音1)、高山 好弘2)◎圓田則子1)、埜村直美1)、栗原直美1)、二神友絵1)、岡倉彩音1)、高山好弘2)戸田中央医科グループ 戸田中央産院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ戸田中央産院1)、TMG本部臨床検査部2)【はじめに】当院は37週未満の早産児や出生体重2500g以下の低出生体重児に対し,退院後も貧血などの経過観察を行っている.年間約1500人の出生数のうち約2%が貧血の経過観察の対象となっており,そのほとんどは鉄欠乏性貧血である.今回,溶血性貧血を疑う症例を経験し,チ-ムの一員としての臨床へのアプローチを考えるきっかけとなったので報告する.【症例】1歳3ヶ月 女児 在胎36週6日.1890gで出生.生後14日から4ヶ月まで鉄欠乏性貧血の治療の為鉄剤の投与を受けていた.経過観察で来院の際、顔色不良の為血液検査を施行した.【検査結果及び経過】WBC 20200/µl,Hb 6.3g/dl,血小板 35.8万/µl,Fe 120µg/dl,フェリチン 441.1ng/ml,LDH 1596IU/l,T-Bil 1.7mg/dl,D-Bil 0.7mg/dl,赤血球凝集像(+),多染性赤血球(+),正球性貧血.貧血精査加療の為他院へ紹介となった.紹介先にて直接ク-ムス陽性,抗IgG(-),抗C3d(2+),抗C3bd(2+),寒冷凝集反応 正常,マイコプラズマニュウモニエ(PA) 陰性,EBV抗VCA-IgG,IgM共に◎安田 卓矢1)、小林 保彦1)、柿沼 諒1)、指田 進也1)、樫原 百香1)、高木 美保1)、渡邉 剛士1)、安藤 恭代1)◎安田卓矢1)、小林保彦1)、柿沼諒1)、指田進也1)、樫原百香1)、高木美保1)、渡邉剛士1)、安藤恭代1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)社会医療法人財団石心会埼玉石心会病院1)【背景】当院の内視鏡検査は2018年度で上部2332件、下部1575件の検査を行う。内視鏡業務では医師の介助、機器の管理、患者介助のすべての業務に臨床検査技師が携わる。今回、内視鏡検査受け入れ枠増加を目的として、メンバー全員でブレインストーミングを行い、問題点と課題を抽出した。医師・看護師など人に関する問題や、環境に関する問題などの複数の意見より、自分たちで行える実行・現実可能性と優先度の高い「病棟患者の前処置が遅い」ことに着目し、前処置の時間短縮へと取り組みを開始したため報告する。【現状把握】病棟患者の前処置薬の服用管理や追加、排便状況の確認は病棟看護師が行う。技師の介入のもとに内視鏡室で服用する外来患者は通常4時間で前処置が完了するが、7時より服用をしている病棟患者は4時間以上かかる。理由を確認したところ排便状況の確認による服用の追加が看護師により行われていなかった。この遅れが原因で検査開始時間の目途がつかず、スムーズに業務が進まない現状であった。下部消化管内視鏡検査の前処置の介入一般演題 チーム医療一般演題 チーム医療小児溶血性貧血を経験して 臨床検査技師の病棟業務進出の第一歩123一般演題一般演題チ-3(第7会場 13:55~14:22)チ-4(第7会場 14:23~14:59)小児溶血性貧血を経験して臨床検査技師の病棟業務進出の第一歩~当院検査科が出来ること~下部消化管内視鏡検査の前処置の介入9394

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