埼臨技会誌 Vol66
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◎末次 遼太1)、和田 由香1)、渡野 達朗1)、藤野 真治1)◎末次遼太1)、和田由香1)、渡野達朗1)、藤野真治1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)自治医科大学附属さいたま医療センター1)【はじめに】血液検査自動分析装置は,血球数算定にとどまらずそれに付随するさまざまな項目について報告が可能であり診察に不可欠な検査である.当センターでは SIEMENS Heallthineers社のADVIA2120i(以下ADVIA)と小児微量血算用としてベックマンコールター社のAct-10を使用していた.2019年3月よりSysmex社のXN3100(以下XN3100)を2台導入したので,それに伴う業務変更と運用効果について報告する.            【導入による業務変更】従来は,ADVIAで初回分析後,  データを確認し必要に応じて再検査を実施していた.血液内科の患者の多くは,手引きした標本を作成しなおす必要があった.導入後はそれらが解消され,全ての検査が一連の流れで実行可能となった.また,一部の鏡検はDI-60を利用する運用となった.    【導入による効果】①結果報告までの時間の短縮:検体処理数は特に遅延を認めていた8時,10時,13時台で10%程度改善を認めた.②再検率の低下:今回新たな付帯情報や精度向上により再検ロジックを見直したことで再検率が◎吉川 淑香1)、中山 智史1)、中山 美咲1)、山本 由貴子1)、鵜川 治子1)、松熊 晋1)◎吉川淑香1)、中山智史1)、中山美咲1)、山本由貴子1)、鵜川治子1)、松熊晋1)防衛医科大学校病院1)防衛医科大学校病院1)【目的】2016年に日本検査血液学会標準化委員会の凝固検査標準化ワーキンググループが作成した凝固検査検体取り扱いに関するコンセンサスでは,各施設で使用している採血管・遠心分離条件により血漿中の残存血小板数が異なるため,各施設で遠心後の血漿中に存在する残存血小板数が1万/μL未満になるようにコントロールされていることを確認すると記載されている.当院でもこれに従い,遠心条件の設定を進めてきた.しかし,血小板数高値検体がコンセンサスを満たしているのかは確認出来ていない状態であった.そこで,血小板数高値検体の残存血小板数を確認し,さらなる整備に向けて検討を行った.【対象】当院検査部のボランティアから得られた凝固検体.【材料・方法】3.2%クエン酸ナトリウム入り採血管に採血した全血および血漿を用いた.全血で血小板数を確認後,多血小板血漿を作製し添加することで,血小板高値検体:平均39.1万/μL(遠心し,上清の残存血小板数を測定した.【結果】それぞ15%程度低下した.③作業負担の軽減:メンテナンスは1日1回のシャットダウンを実施するだけになり作業の手間が大幅に軽減された.また,塗抹標本作成装置の性能が/μL以上となった2被験者に対して,日付を変えて複数回向上したことで白血球減少患者の血液像を手引きする必要がなくなった.④新規項目の報告:今まで臨床から要望されていたIPFの報告が可能となり1日20件ほどを報告している. 【まとめ】ADVIAでは検体詰まりを起すことが多く,それで結果報告遅延が起きていた.時間当たりの処理数が増加し,導入前に問題となっていた検査報告の遅延が解消された.また,自動再検機能や,再検時の低値白血球モードの追加,以前より臨床から要望のあったIPFの報告や,有核赤血球補正の自動報告など臨床に有益な検査情報を迅速に報告することが可能となった.血算の報告,血液像の作成について作業の軽減が図れた一方で,DI-60の運用についてはいまだ十分な活用に至っていない.今後未だ用手法で実施している体腔液測定についても導入する予定である.        れの遠心条件下で血小板数1万/μLを超えたのは①3/5検体,②5/5検体,③2/5検体,④2/5検体であった.追加検討とンサスを満たすことができた.④の条件で血小板数1万の検討を行ったところ,④の条件で血小板数1万/μL未満して遠心時間を15分に延長したところ,9/9検体がコンセとなることもあった.【考察】擬似的に作成した血小板数高値の検体が,当院の現行遠心条件で血小板数1万/μL未満とならない場合を認めたことにより,血小板数高値の患者検体が,コンセンサスを満たしていない可能性が懸念された.遠心時間を15分と延長することにより,コンセンサスを満たす血漿を得ることができると考えられるが,TATとの兼ね合いを考えると可能な限り遠心時間を10分以内に設定することが望まれる.④の条件で,同一被験者が血小板数1万/μL未満となることもあることから,測定誤差等の要因が含まれている可能性も否定できない.今後,患者検体を用いた調査も含め,追加検討を行う予定である.連絡先:04-2995-1511(内線3323)当センターでのXN3100導入に伴う検査の運用について多血小板血漿を添加した凝固検体を用いた遠心条件の検討連絡先:048-648-535911633.1~49.1万/μL)を作製した.①18℃・1800G・10min②20℃・1800G・10min③25℃・1800G・10min④25℃・2000G・10minで一般演題 血液一般演題 血液一般演題一般演題血-8(第4会場 13:29~14:05)血-9(第4会場 14:06~14:42)当センターでのXN3100導入に伴う検査の運用について多血小板血漿を添加した凝固検体を用いた遠心条件の検討2425

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