染色体:46,XY, t(16;16)(p13.1;q22)[19/20]. 患者背景にトポイソメラーゼⅡ阻害剤を含む化学療法の既往はなく,骨髄形態(特殊染色),FCMから骨髄・単球系の判別および芽球帰属の判定によりFAB分類:AML(M2Eo)と考えられた.さらにt(16;16)が検出されたため,反復性遺伝子異常を伴うAMLと診断された. 【考察】t(16;16)はinv(16)に比べ検出頻度は稀であり,ともにM4Eoと密接に関係しているが約一割で異常好酸球が増加しない症例もあるためM4と判断される場合がある.本例はM2相当の形態所見を呈するも背景には異常好酸球を認め,好酸球増多を示す他の骨髄性腫瘍が考えにくいことから,骨髄検査レポートに”inv(16)/t(16;16)が推測される”と所見をとった例である.一方,FAB分類に際して単球系(前駆細胞含む)細胞の存在はM4との鑑別が問題となる.本例は注意深い形態観察が臨床への有益な情報提供に繋がった症例であった. 連絡先048(433)3711◎中山 美咲1)、中山 智史1)、吉川 淑香1)、山本 由貴子1)、坂場 幸治1)、鵜川 治子1)、宮居弘輔1)、松熊晋1)◎中山美咲1)、中山智史1)、吉川淑香1)、山本由貴子1)、坂場幸治1)、鵜川治子1)、宮居弘輔1)、松熊晋1)防衛医科大学校病院1)防衛医科大学校病院1)【はじめに】形態学的に芽球型形質細胞様樹状細胞腫瘍(Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm:BPDCN)と鑑別が困難であった,t(9;11)(p21.3;q23.3)を伴うAMLを経験したため報告する.【症例】80代,女性.掻痒感のない紅斑が胸部,四肢に出現し,他院受診.大豆大から小豆大の浸潤を触れる紅斑が体幹中心に散在していた.皮膚生検にて,皮膚悪性リンパ腫が疑われ,当院紹介となった./μL,Hb 12.2 g/dL,PLT 【検査所見】WBC 4.4×103 16.2×104 /μL,LD 177 U/L,IL-2R 383 U/mL.当院で施行された皮膚生検では,BPDCNが疑われた.その後施行された骨髄検査では,NCC 2.72×104 /μL.大型,N/C比60%程度,核網やや繊細,核くびれ,細胞質好塩基性で空胞形成のみられる芽球様細胞を9.4 %(末梢血混入)認め,MPO染色,非特異的EST染色は共に陰性から陽性であった.細胞表面マーカーは,CD4,CD13,CD33,CD56,HLA-DRが陽性であり,BPDCNの骨髄浸潤で矛盾しないと考えた.しかし,染色体検査の後日報告で◎赤沼 優里奈1)、地田 信子1)、石井 里佳1)、杉浦 小春1)、本橋 侑子1)、山崎 淳也1)、圓田 和人1)、高山 好弘2)◎赤沼優里奈1)、地田信子1)、石井里佳1)、杉浦小春1)、本橋侑子1)、山崎淳也1)、圓田和人1)、高山好弘2)戸田中央医科グループ(TMG)戸田中央臨床検査研究所1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ(TMG)戸田中央臨床検査研究所1)、TMG本部臨床検査部2)【はじめに】t(16;16)およびinv(16)はAMLの5%弱に認め, WHO分類第4版では独立した疾患単位として分類されている.FAB分類ではM4Eoの形態像が特徴的でありM2, M5のごく一部にも認められる.今回,t(16;16)を有するAMLとしては稀なM2Eoと考えられた症例を経験したので報告する. 【症例】70歳代, 男性.糖尿病にて当院一般内科加療中,口腔内にアフタ出現.同時期に発熱と汎血球減少,芽球様細胞の出現より精査目的で血液内科受診.【受診時】末梢血検査:WBC 2150/µl(Blast6%, Stab2%, Seg20%, Eo1%, Ba0%, Mo10%, Ly61%), Hb 11.5g/dl, PLT 7.5万/µl. 骨髄検査:正形成骨髄,芽球25.4%(中型でN/C比70~80%, 塩基性の細胞質に核は類円形から一部不整形で核小体を有する), 単球7.4%(一部、前単球含む), 好酸球13.4%(内訳:好塩基性の大粒顆粒を有する異常好酸球6.0%).特殊染色(芽球陽性率)はPOD:61%, 非特異的ES:陰性, 特異的ES:一部陽性, PAS:陰性. FCM:CD2+, CD13+, CD33+, CD34+, HLA-DR+, CD4-, CD14-. t(9;11)(p21.3;q23.3)を認め,骨髄標本を見直したところ,BPDCNの腫瘍細胞とした細胞は,細胞質の二重構造や偽足様突起が認められ,単球系細胞の可能性が示唆された.皮膚生検では,免疫染色を追加し,MPO,リゾチームが陽性であり,t(9;11)(p21.3;q23.3)を伴うAMLが示唆されると報告した.【結語】細胞質の二重構造や偽足様突起が認められる細胞は,単球系細胞の可能性が考えられるが,BPDCNは,多彩な細胞形態を示すことが知られており,本症例と類似した特徴を示すとの報告もある.また,細胞性免疫検査も類似する所見が多いため,両者を鑑別するためには,細胞形態,細胞表面マーカーや免疫組織化学染色での単球系の解析,染色体検査を合わせた総合的な判断が必要である.連絡先04-2995-1511(3206)114一般演題 血液一般演題 血液BPDCNと鑑別を要したt(9;11)(p21.3;q23.3)を伴うAMLの1例AML(M2Eo)の形態像を呈したt(16;16)(p13.1;q22)の一例 /μL,Mgk 6 一般演題一般演題血-4(第8会場 11:00~11:36)BPDCNと鑑別を要したt(9;11)(p21.3;q23.3)を伴うAMLの1例血-5(第4会場 13:29~14:05)AML(M2Eo)の形態像を呈したt(16;16)(p13.1;q22)の一例3221
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