埼臨技会誌 Vol66
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②2種類の採血管の項目間差についての比較検討を行った.【結果】①のタイムラグは最長18分00秒,最短0分00秒,平均6分30秒だった.②の項目間差は生化学全項一般演題 臨床化学一般演題 臨床化学◎霜田 佳久1)、冨田 耕平1)、藤原 朗博1)、石澤 真実1)、兼岡 菜摘1)、石川 将基1)、成塚 靖浩1)、原 誠則1)◎霜田佳久1)、冨田耕平1)、藤原朗博1)、石澤真実1)、兼岡菜摘1)、石川将基1)、成塚靖浩1)、原誠則1)社会医療法人壮幸会 行田総合病院1)社会医療法人壮幸会行田総合病院1)【はじめに】当院では,救急検査時へパリンLi採血管による血漿検体を用いている.しかし,血漿検体は血清検体と比較し生化学項目の一部でバラツキや乖離を認め,また当院の免疫項目に対し検討データがない為測定不可としている.今回当院では血清検体による精度向上とTAT短縮を目的とし急速凝固用真空採血管(以下急速凝固用)を導入し,生化学血清用採血管(以下生化学血清用)との比較検討を行ったので報告する.【内容】実施期間は2018年11月21日~12月29日で行った.急速凝固用ネオチューブNP-RC0809-ST(ニプロ株式会社)と生化学血清用ベノジェクトII真空採血管VP-AS109K(テルモ株式会社)を用いた.対象は救急外来患者22名,透析患者5名,消化器外科患者15名,当科職員16名の計58名に協力いただいた.測定機器はBioMajesty ZERO ZS-050(日本電子)とHISCL-5000(sysmex)を用いた.方法は1回の採血から連続で2種類の採血管に採血し,①急速凝固用が遠心可能な状態を0秒とし,そこから生化学血清用が遠心可能な状態となるまでの時間を30秒間隔で確認し,2種類◎髙橋 和男1)、奈良部 安2)◎髙橋和男1)、奈良部安2)株式会社 ビー・エム・エル BML 総合研究所1)、株式会社ビー・エム・エル BML総合研究所2)株式会社ビー・エム・エルBML総合研究所1)、株式会社ビー・エム・エルBML総合研究所2)【目的】精密度評価は,複数濃度による同時再現性,日差再現性による評価(いずれも10回程度の重複,日数)が多く行われている.しかし,これらの方法では自動分析装置の評価は不十分と指摘されている.ここではCLSIによるガイドラインEP05-A3に基づいて検討・評価した.【方法】項目はコレステロール,自動分析装置は日立7180,試料は市販管理試料を用いた.測定は1日4回(午前,午後にそれぞれ2重測定)を20日間,合計80回測定した.精密度要素は併行,測定間,日内,日間および,総合精密度とし,併行および,総合精密度は95 %信頼区間(CI, 95%)を算出した.コレステロール一次標準物質(JCCRM 224)による拡張不確かさも算出した.また,臨床医からみた測定誤差の許容限界1)を用いて精密度の評価を行った.統計処理は2元配置分散分析を用いた.【結果】コレステロールの平均測定値は 252 mg/dL.併行精密度(CV %), 1.12(0.92〜1.44; CI, 95%); 測定間精密度, 0.70; 日内精密度, 1.32; 日間精密度, 0.56; 総合精密度, 1.44(1.23〜1.75; CI, 95%)であった.総合精密度におけるCLSI EP05-A3 に基づいた自動分析装置・試薬の精密度評価の採血管のタイムラグと3000rpm 5分の遠心を行ったのち目に関して,回帰式よりa:0.95~1.05かつr:1~0.97と良好な結果が得られた.免疫項目ではFT4はy=1.1708x-0.0697 r=0.92,NT-proBNPはy=0.8355x-49.459 r=0.99となり良好な結果は得られなかったがその他の項目はa:0.95~1.05かつr:1~0.95と良好な結果が得られた.【考察】今回の検討結果から,生化学項目の測定においては生化学血清用より平均5分以上の短縮が得られ,測定結果を高い精度で臨床に報告する事が可能と確認できた.しかし免疫項目においてはFT4とNT-proBNPに関して生化学血清用と測定結果が乖離してしまう結果が確認され使用不可とすることが望ましいと考えられた.よって測定間違い防止の為急速凝固用の運用は生化学項目のみとした.乖離する原因は不明であるため今後の検討課題としたい.  連絡先:048-552-1111拡張不確かさはCV, 2.99 %であった.この値を許容誤差限界(2.7 %)と比較し,χ2検定(p = 0.05)したところp = 0.101となり有意の差はみられなかった.【考察】EP05-A3に基づいて自動分析装置の精密度を評価した.総合精密度は1.44%,拡張不確かさは2.99%,臨床医の許容誤差2.7%より0.3%上回る結果となったがχ2検定により許容誤差内と判断した.現在,自動分析装置における精密度の検討が多く行われているが,単に同時および日差再現性(精密度)だけでなく,各精密度要素を求めることにより,装置の特性を把握し,日常の運用に活用できる.また,求めた値は推定値であることから95%CIを示し,さらに不確かさを求めることにより,臨床側への精度保証値を明確にすることが重要である.【結語】自動分析装置の精密度を詳細に検討することは,日常の精度管理における管理限界値や臨床側への精度保証値の設定に必須と考える.参考資料:1) 永峰ら;臨床医からみた測定誤差の許容限界;医学検査,Vol 47, p 145. 1998. 連絡先; 049-232-3131精度の向上とTAT短縮に向けての検討108一般演題一般演題化-6(第4会場 10:28~11:05)化-7(第4会場 10:28~11:05)CLSI EP05-A3に基づいた自動分析装置・試薬の精密度評価精度の向上とTAT短縮に向けての検討4041

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