埼臨技会誌 Vol66
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微生物2生 理3Escherichia coli(18.5%)であった。変更後はCNS(29.0%)が最も多く、次にE.coli(17.4%)であった。陽性化時間はE.coliで好気用ボトルでは変更前14.1時間(83件)、変更後18.4時間(84件)、嫌気用ボトルでは変更前14.1時間(77件)、変更後13.9時間(87件)であった。Staphylococcus aureusは好気用ボトルで変更前18.1時間(22件)、変更後16.9時間(58件)、嫌気用ボトルで変更前25.4時間(27件)、変更後19.8時間(57件)であった。小児用ボトルのCNSは変更前31.2時間(17件)、変更後19.9時間(16件)であった。【考察】抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルへの変更後では陽性率が12.1%から13.5%へ上昇した。またE.coliの好気用ボトルでは陽性化時間が4.3時間延長したが、E.coliの嫌気用ボトル、S. aureusの好気用・嫌気用ボトル、CNSの小児用ボトルでは陽性化時間が各0.2時間、1.2時間、5.6時間、11.3時間短縮しておりボトルの性能の向上が考えられた。【まとめ】抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルの有効性が評価さ一般演題 微生物一般演題 微生物◎松崎 奈那子1)、河村 亨1)、舘 良美1)、奥村 志乃1)、高橋 梨奈1)、武内 信一1)、森吉 美穂1)、池淵 研二1)◎松崎奈那子1)、河村亨1)、舘良美1)、奥村志乃1)、高橋梨奈1)、武内信一1)、森吉美穂1)、池淵研二1)埼玉医科大学病院1)埼玉医科大学病院1)【はじめに】 血液感染症の中で黄色ブドウ球菌は病原性が強く、迅速な同定と適切な抗菌薬治療が重要であるが、標準的な培養、薬剤感受性試験(以下培養法)では時間を要する。2019年4月より当院で導入されたGeneXpert MRSA/SA BC「セフィエド」(ベックマンコールター、以下 G/X SA)は、陽性ボトルから MRSA または MSSA の迅速診断が可能である。今回、G/X SA と培養法との相関および血液培養実施状況、抗菌薬の使用状況について調査したので報告する。【対象および方法】2019 年 4,5 月の 2ヶ月間の血液培養陽性検体で、クラスター状グラム陽性球菌が塗抹で観察された症例を対象とした。CNSにおいては、G/XSAのmecA遺伝子結果を参考に推定した。また、同2ヶ月間に提出された血液培養 1480 件について 2 セット率、陽性率、分離菌数について集計を行った。なお、当院は日本 BD 社製血培ボトルを使用している。【結果】対象35件のG/XSAの結果は、MRSA5件、MSSA13件、MRCNS 疑い 10 件、 MSCNS 疑い 7件となり、すべて培養法と一致した。なお、抗菌薬使用状況とし◎泉田 桃1)、田中 杏奈1)、荻野 毅史1)、関谷 晃一1)◎泉田桃1)、田中杏奈1)、荻野毅史1)、関谷晃一1)埼玉県 済生会川口総合病院1)埼玉県済生会川口総合病院1)【はじめに】血液培養は敗血症に伴う起因菌の早期検出に重要な検査である。当院では血液培養ボトルを2018年5月から抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルへ変更した。今回変更前後でのデータを比較することでそのボトルの性能を検証したので報告する。【対象と方法】2017年5月から2019年5月まで、当院で血液培養を実施した8204件を対象とし、自動血液培養検査装置はBacT/ALERT 3D(ビオメリュー・ジャパン㈱)を使用した。培養ボトルはSA培養ボトル(好気用)、SN培養ボトル(嫌気用)、PF培養ボトル(小児用)を使用し、2018年5月に抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルのFA Plus培養ボトル(好気用)、FN Plus培養ボトル(嫌気用)、PF Plus培養ボトル(小児用)に変更した。集計項目は陽性率、分離菌種、陽性と判定されるまでの時間(陽性化時間)などとし、ボトル変更前後を比較した。【結果】ボトル変更前は3973件中481件(12.1%)が陽性であった。ボトル変更後は4231件中570件(13.5%)が陽性であった。分離菌種は変更前でCNS(20.1%)が最も多く、次に血液培養分析装置BacT/ALERTにおける抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルの切り替え前後の評価て、MRSA 5件中 2件はVCM 継続投与、3件で抗 MRSA 薬へ変更され、MSSAにおいては13件中4件でCEZへのde-escalationを、3件でCEZの新規投与が確認された。血液培養検体の2セット率は小児検体を除き4月90%、5月 92%、陽性率は4月 14.12%、5月 8.72%であった。分離菌は103菌株が陽性となり、上位5菌種は、MSSA 13件、E. coli 10 件、S. epidermidis MRCNS 8件、S. epidermidisMSCNS 6件、MRSA 5件であった。【まとめ】G/X SA 導入後はグラム染色結果判明から約1時 間で MRSA、MSSA の報告が可能となり、CNSについても mecA遺伝子結果からMRCNS、MSCNSの推定は可能であった。G/X SA での迅速診断により、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の早期介入、支援が行われ、適切な抗菌薬へ の変更が可能となった。また、血液培養2セット率は 90%以上を維持しており、陽性率については血液培養ガイドライン推奨の5%~15%以内に収まっていた。学会では症例を追加して発表の予定である。れた。今後対象を増やして検討する。連絡先:048-253-1551(内線1929)連絡先 049-(276)-143599Gene Xpert MRSA/SA BCの有用性の評価Gene Xpert MRSA/SA BCの有用性の評価および血液培養実施状況調査および血液培養実施状況調査血液培養分析装置BacT/ALERTにおける一般演題一般演題微-2(第3会場 9:30~10:06)微-3(第3会場 9:30~10:06)抗菌薬吸着ビーズ含有ボトルの切り替え前後の評価

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