埼臨技会誌 Vol
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②尿中プロテアーゼによる検討 調整したアルブミン溶液を尿に混合し、それぞれ4℃、25℃、37℃で、3時間、6時間、1日、1週間保存した。そ【結果】①保存条件による検討 4℃、25℃、37℃で、3時間、6時間、1日、1週間保存しかった。②尿中プロテアーゼによる検討 アルブミン溶液を尿に混合し4℃、25℃、37℃で、3時間、6時間、1日、1週間保存したが、どの条件においても低分子化したアルブミンは検出されなかった。3時間、6時間、1日、1週間保存した。それらの溶液についてSDS-PAGEを行い、泳動後、抗ヒトアルブミン抗体を用いウエスタンブロット法を行った。セルロースアセテート膜電気泳動法による尿の二峰性アルブミン分画の解析 96【はじめに】 セルロースアセテート(セア)膜電気泳動法は、血清蛋白分画を行う手法で、M蛋白の検出に用いられている。我々はセア膜に適した高感度な銀染色法を開発し、以前から尿を濃縮せずに尿蛋白分画を行ってきた。当研究室では以前、ある患者の尿についてセア膜電気泳動を行い、高感度銀染色法を行ったところ、アルブミン分画が二峰性になる現象が見られた。 そこで、本研究は尿で検出された二峰性アルブミン分画について、そのアルブミンの性状を確認するため、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)とウエスタンブロット法を行いアルブミンの解析を行ったので報告する。【対象】 セア膜電気泳動で尿の二峰性アルブミン分画が検出できたネフローゼ症候群の患者尿4例を用いた。【方法】 対象の尿について血清蛋白分画と同様の方法でセア膜電【はじめに】当研究室では以前、ある患者の尿についてセア膜電気泳動を行い、高感度銀染色を行ったところ、アルブミン分画が二峰性になる現象が見られた。二峰性アルブミン分画について、そのアルブミンの性状を確認するため、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)とウエスタンブロット法を行ったところ、低分子化したアルブミンが検出された。 そこで本研究では、低分子化したアルブミンが尿の保存状態によるものか、また尿中のプロテアーゼによるものかどうかを検討したので報告する。【対象】市販のアルブミン,ヒト血清由来(WAKO)を尿中のアルブミン濃度になるよう調整したアルブミン溶液を用いた。【方法】①保存条件による検討 調整したアルブミン溶液をそれぞれ4℃、25℃、37℃で、気泳動を行い、泳動後セア膜専用銀染色液キット(常光)を用いて染色した。対象の尿について自製の10%ゲルを用いSDS-PAGEを行った。泳動後のゲルをPVDF膜に転写し、抗ヒトアルブミン抗体(DAKO)を用いウエスタンブロット法を行った。ウエスタンブロット法の結果からアルブミンの分子量を求めた。【結果】 セア膜電気泳動法と高感度銀染色法により二峰性アルブミン分画を確認した。その尿についてSDS-PAGEとウエスタンブロット法によりアルブミンを検出したところ、分子量66000のアルブミン以外に分子量45000や30000などの低分子化したアルブミンが検出された。【まとめ】 血清アルブミンの分子量は約66000と言われている。健常者及び腎疾患患者の尿中のアルブミンも分子量66000のものが通常排泄されているが、セア膜電気泳動法で二峰性アルブミン分画が見られた患者の尿中のアルブミンは低分子化していることが分かった。   連絡先:048-973-4799れらの溶液についてSDS-PAGEを行い、抗ヒトアルブミン抗体を用いウエスタンブロット法を行った。たが、どの条件でも低分子化したアルブミンは検出されな【まとめ】今回の検討結果より、尿中アルブミンの低分子化は、尿の保存条件や尿中プロテアーゼが原因でないことが示唆された。        ◎村木 耕太郎1)、橋場 愛優美1)、久保田 亮2)◎村木耕太郎1)、橋場 愛優美1)、久保田 亮2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)◎橋場 愛優美1)、村木 耕太郎1)、久保田 亮2)◎橋場 愛優美1)、村木 耕太郎1)、久保田 亮2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 検査技術科学専攻1)、埼玉県立大学2)尿中アルブミンの低分子化に関する検討 連絡先 048-973-4799EntryNo. 98EntryNo. 92セルロースアセテート膜電気泳動法による尿の二峰性アルブミン分画の解析尿中アルブミンの低分子化に関する検討般-8(第7会場 10:36~11:12)般-9(第7会場 10:36~11:12)

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