埼臨技会誌 Vol
92/135

らHPSと診断,リンパ節生検では壊死性リンパ節炎,臨床症状と合わせてHNLによるHPSと診断された.PLS 45 mgによるパルス療法にて解熱,回復した.【考察】 HPSは種々の原因で発症する症候群で15歳以上では悪性リンパ腫関連が多く,次いでEBV-HLH/HPSとされている.HNLは原因不明であるが,稀にHPSを発症するとされている.今回,骨髄検査でマクロファージに血球貪食を認め,HLH-2004ガイドラインでは5項目中4項目であったが,Tuda-94の診断基準を満たしており,HNLによるHPSと診断された例を経験した.血球減少と血液像で反応性リンパ90連絡先:048-591-6752組織球性壊死性リンパ節炎からHLH/HPSを発症した1例中高年におけるEBV初感染とCMV重複感染の一例◎岡田 典子1)、石垣 陽子1)、石崎 由美1)、安達 真二1)、廣瀬 米志2)◎岡田 典子1)、石垣 陽子1)、石崎 由美1)、安達 真二1)、廣瀬 米志2)北里大学メディカルセンター (株) LSIメディエンス検査室1)、北里大学メディカルセンター 検査部2)北里大学メディカルセンター(株) LSI メディエンス検査室1)、北里大学メディカルセンター 検査部2)◎川村 綾子1)、石垣 陽子1)、石崎 由美1)、安達 真二2)、廣瀬 米志1)◎川村 綾子1)、石垣 陽子1)、石崎 由美1)、安達 真二2)、廣瀬 米志1)学校法人北里研究所 北里大学メディカルセンター1)、(株)LSIメディエンス 東日本推進部2)学校法人北里研究所 北里大学メディカルセンター1)、(株)LSI メディエンス 東日本推進部2)【はじめに】組織球性壊死性リンパ節炎(菊池・藤本病)(histiocyticnecro necrotizing lymphadenitis:HNL)は原因不明の良性なリンパ節炎であり,若年の女性に多くみられると言われ,稀に血球貪食症候群(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH/HPS,以下HPS)を発症するとされている.今回,HNLによるHPS例を経験したので報告する.【症例】 17歳,女性.38~39℃の発熱があり近医を受診し,WBC 3.5×109 /L,Hb 12.7 g/dL,Plt 198×109 /L,血液像に反応性リンパ球(+),ANA(+),SSA(+),膠原病疑いで当院入院,頸部リンパ節の腫大を認めた.入院3日後,WBC 1.8×109 /L,Pl 118×109 /Lと減少,不明熱持続のため骨髄穿刺を実施,マクロファージに血球貪食を認めた.LDH 1,133 U/L,AST 527 U/L,ALT 430 U/L,ALP 509 U/Lと肝障害,FDP 18.5 μg/mL,Fib 311 mg/dL,フェリチン2,970 ng/mL,sIL-2R 1,090 U/mLと高値を示したことか【はじめに】一般的にはEpstein-Barr Virus(EBV)感染による伝染性単核症は若年者,サイトメガロウイルス(CMV)感染は高齢者の発症が多いとされている.今回54歳でEBV初感染にCMV感染を伴い,初診時に薬剤性肝炎との鑑別を要した症例を経験したので報告する.【症例】54歳男性.発熱で近医を受診し,インフルエンザと診断され薬を処方され,一度は解熱したが数日後再度発熱倦怠感,食欲不振,尿の黄色を自覚し近医を再受診したところ,肝機能障害を指摘され当院入院となった.入院時の検査結果はT-Bil 4.0 mg/dL,D-Bil 2.9 mg/dL,AST 218 U/L,ALT 330 U/L,LD 473 U/L,ALP 1096 U/L,γ-GT 1264 U/L,CRP 1.28 mg/dL,WBC 13.0×109/L,Hb 15.5 g/dL,血小板 222×109/L,HBsAg (-),HCV (-),CMV-IgM 1.32(+),EBV-VCA IgG 160,EBV-VCA IgM 20,EBV-EBNA <10であり,近医で処方された薬剤によるリンパ球幼弱化試験は全て基準値以下であった.血液像では反応性リンパ球が4%,形態は大型,N/C比50%位,塩基性不均一な伝染性単核症に出現する細胞に類似していた.細胞表球を認めた場合は,他検査データを含め,骨髄検査で血球貪食の有無を観察する必要がある.【結語】 不明熱で当院に入院したHNLからHPSを発症した例を経験した.HPSの診断には他検査室データと血球貪食像の確認の重要性を学んだ.面マーカーでCD8+/HLA-DR+32%.MRCPでは胆管拡張(-),総胆管結石(-)であり,検査結果から今回の肝機能障害は,EBVとCMVの重複感染によるものだと診断された.【考察】肝機能障害は様々な疾患が要因となって起きる症状である.薬剤性肝障害の鑑別のひとつにウイルス性肝障害がある.本症例はEBV抗体価が陽性であったが,中高齢者であることからEBV初感染は考えにくかったが,反応性リンパ球の性状と形態は伝染性単核症に特徴的な形態であることから,CMV抗体価弱陽性を含めて重複感染と診断された.近年,中高齢者におけるEBV初感染者が増加しており,診断に苦慮することがあるが,ウイルス抗体価と反応性リンパ球の形態を把握することで鑑別可能と思われる.また薬剤性肝障害で反応性リンパ球が出現した例では形態が異なることから,反応性リンパ球の形態の重要性を学んだ.【結語】中高齢者のEBV初感染では血液像の細胞形態が重要な一例であった.連絡先 048-591-6752(直通)EntryNo. 39EntryNo. 53組織球性壊死性リンパ節炎からHLH/HPSを発症した1例中高年におけるEBV初感染とCMV重複感染の一例血-5(第6会場 9:59~10:35)血-6(第6会場 9:59~10:35)

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る