埼臨技会誌 Vol
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血 液連絡先04-2995-1511(3206)89lymphoma(HGBL)with MYC and BCL2 and/or BCL6 rearrangementsはWHO2017分類で新たな高悪性度リンパ腫として分類され,その診断については免疫組織化学染色(IHC)を基軸とするかFISH解析を基軸とするかで確立されていない.今回我々はCLLからDLBCLに進展するRichter症候群からHGBL,MYC and BCL2 and BCL6を疑う症例を経験したので報告する.【症例】79歳,男性.平成28年CLLと診断され,無治療であったが,平成29年2月に脾腫が増悪していたため治療を開始した.同年12月頃より脱力感を自覚し,徐々に歩行困難が進行し,その後意識朦朧状態となり当院に救急搬送され,新規リンパ節腫大,血液検査で著明な高Ca血症を認め,精査加療目的で緊急入院となった.【入院時検査所見】WBC:5.4×103 /μL,RBC:3.32×106 /μL,Hb:10.0 g/dL,Plt:11.4×104 /μL,LD:951 U/L, sIL-2R:9292 U/mL,Ca:15.4mg/dL.骨髄検査所見は,NCC:4.55×104 /μL,Mgk:16 /μL,異常リンパ球:51.4 %認め,それらの細胞は大型~中型でN/C比大,核クロマチンややT/NKおよびB細胞形質を有する血管内リンパ腫(IVL)の3例◎杉浦 小春1)、地田 信子1)、石井 里佳1)、圓田 和人1)、高山 好弘2)◎杉浦 小春1)、地田 信子1)、石井 里佳1)、圓田 和人1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ(TMG)戸田中央臨床検査研究所1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ(TMG)戸田中央臨床検査研究所1)、TMG 本部 臨床検査部2)◎福元 菜摘1)、中山 智史1)、山本 由貴子1)、道休 美咲1)、坂場 幸治2)、鵜川 治子1)◎福元 菜摘1)、中山 智史1)、山本 由貴子1)、道休 美咲1)、坂場 幸治2)、鵜川 治子1)防衛医科大学校病院1)、株式会社 ピーシーエルジャパン2)防衛医科大学校病院1)、株式会社 ピーシーエルジャパン2)【はじめに】血管内リンパ腫(IVL)は小血管内選択的に腫瘍細胞が増殖する疾患であり,WHO分類2008年版から血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)として独立した疾患単位である.疾患単位は異なるが,僅かでT細胞およびNK細胞も報告されている.今回,当センターにてT/NK細胞IVL(IVTNKL)1例およびIVLBCL,2例を経験したので報告する.【症例1】70歳代,女性.発熱,血小板減少を認め血液疾患疑いにて紹介入院.WBC16510/µl,Hb9.2g/dl,Plt1.3万/µl,血液像は組織球散見.LDH444IU/l,sIL-2R15114U/ml.骨髄像:大型リンパ腫様細胞と血球貪食像を認めた.病理診断:皮膚生検にて小血管内に異型細胞(+).免疫染色:CD3+,CD56+,CD4-/+,GeB+,EBER-ISH+よりIVTNKLと診断.【症例2】60歳代,女性.入院4週間前より熱発,抗生剤を内服するも症状改善なく意識レベル低下により搬送入院.WBC4720/µl,Hb8.4g/dl,Plt3.4万/µl,血液像は大型の異常リンパ球様細胞と血球貪食像を認めた.LDH5352IU/l,sIL-2R6864U/ml.骨髄像:末血同様のリンパ腫様細胞と血球貪食像を認めた.病理診断:異型細【はじめに】High-grade B-cell 胞は類洞内優位の浸潤にてIVLBCLと診断.【症例3】80歳代,男性.入院6ヶ月前より発熱があり近医にて処方を受けるも経過不良で病院受診.精査も熱源不明,sIL-2Rは軽度高値,皮膚生検実施よりIVLは否定的であったが全身状態劣化により入院.WBC3940/µl,Hb9.2g/dl,Plt17.5万/µl,LDH425IU/l.原因不明の貧血にて骨髄検査実施:大型リンパ腫様細胞(1.2%)と血球貪食像を認めた.CT:腫大リンパ節なし.Gaシンチグラフィ:異常集積は認めず.骨髄原発悪性リンパ腫を強く疑ったがその後,骨髄検体の結果をうけて所見なしとされた皮膚生検の再検から少数の異型細胞が認められIVLBCLと診断.【考察】3例のIVLを経験し診断に際しては末梢血液像で組織球や血球貪食細胞に注意を払うことが重要であり,かつLD,sIL-2R高値の場合はIVLを念頭に置きリンパ節腫大の有無も併せ検査をすすめていく必要がある.また症例3のように必ずしも生検で観察しうる異型細胞は多くないため,病理診断の際には骨髄検査所見の情報共有などの連携が正確な診断に寄与するものと考えられた.       連絡先048(433)3711繊細~粗剛,細胞質好塩基性で空胞形成含みCLL診断時とは異なるDLBCLとバーキットリンパ腫(BL)の中間型の形態を認めた.細胞表現型はCD19,CD20,CD22,CD38,cyCD79陽性,κ鎖に著しい偏りを認めた.以上よりCLLの経過中にRichter症候群を発症したことが疑われた.リンパ節の病理組織診検査のIHCではMYC,BCL2,BCL6陽性でありHGBL,with MYC and BCL2 and BCL6が示唆された.しかしFISH解析はそれぞれ陰性であり形態学的にDLBCLとBLの中間型であったためHGBL,NOSの診断となった.【結語】今回我々は,IHCよりMYC,BCL2,BCL6が陽性を認めたことからHGBL,with MYC and BCL2 and BCL6を疑ったが,本症例はFISH解析で遺伝子再構成は認められず,IHCの結果との解離がみられた.本症例とDLBCLでは悪性度,生命予後が異なるが,現在IHCのみで転座を示唆する判断基準は定まっていない.そのためFISH解析での遺伝子再構成の検索は重要である.Richter症候群の高悪性度B細胞性リンパ腫から認めたFISH解析の有用性EntryNo. 28EntryNo. 63Richter症候群の高悪性度B細胞性リンパ腫から認めたT/NK およびB 細胞形質を有する血管内リンパ腫(IVL)の3例FISH解析の有用性血-3(第6会場 9:59~10:35)血-4(第6会場 9:59~10:35)

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