埼臨技会誌 Vol
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5件)、心房細動(HR150以上)が4件(全例薬剤治療)、非持続性心室頻拍が1件(精査後、経過観察)となった。対象期間中の心エコーは総数9573件であり、パニック値(像)報告のIEが13件(診断確定:12件で全例薬剤治療、うち3件は弁置換術を施行)、心タンポナーデは4件(心嚢穿刺:2件)、心臓内血栓が4件(全て薬剤治療)、右房内腫瘍が1件(外科手術を施行)であった。【考察】ST上昇は心電図波形だけでAMIと判断するのは難しいが、早期診断、処置が行われておりパニック値として報告するのが適切だと再認識した。78心電図・心臓超音波検査パニック値(像)報告後の経過の検討当院生理機能検査室における緊急報告の現状◎三枝 祐希1)、池淵 研二1)、森吉 美穂1)、武内 信一1)、諸貫 孝久1)、仲野 浩1)、岡野 こずえ、宗像 真未1)◎三枝 祐希1)、池淵 研二1)、森吉 美穂1)、武内 信一1)、諸貫 孝久1)、仲野 浩1)、岡野 こずえ、宗像 真未1)埼玉医科大学病院1)埼玉医科大学病院1)◎荻原 奈美1)、熊谷 佳奈江1)、水野 さよか1)、神澤 千絵1)、石上 園子1)、渋谷 賢一1)◎荻原 奈美1)、熊谷 佳奈江1)、水野 さよか1)、神澤 千絵1)、石上 園子1)、渋谷 賢一1)越谷市立病院1)越谷市立病院1)【目的】当院では生理機能検査室におけるパニック値(像)と緊急値の報告体制を構築し、いち早く対応できるように取り組んでいる。今回、心電図と心臓超音波検査(心エコ−)の循環器分野において、パニック値(像)と緊急値の報告後の臨床経過を確認することにより有用性を検討した。また、2018年6月から電子カルテシステムのテンプレート運用を開始したので報告する。【方法】2017年1月~2018年5月に中央検査部で心電図と心エコーを行った中で、パニック値(像)・緊急値報告となった患者さんを対象とした。パニック値(像)の心電図はST上昇を含む4種。心エコーでは感染性心内膜炎(IE)を含む3種。その他として「技師が緊急連絡を必要とした場合」とした。緊急値の心電図は完全房室ブロックを含む7種あり、これらの心電図波形、心エコー画像と臨床経過を集計し検討した。【結果】対象期間中の心電図は総数24735件であり、パニック値(像)報告のST上昇が7件(AMIと診断しPCI施行:2件、OMIと判断:2件)。緊急報告値の完全房室ブロックが6件(ペースメーカー適応:1件)、発作性上室頻拍が6件(薬剤治療:【はじめに】当院検査室では以前より,技師が検査結果に緊急性があると判断した場合,主治医への電話連絡を行っている.2015年からはマニュアル・緊急報告記録簿を作成し報告漏れがないように努めている.今回,緊急報告の現状および報告後の臨床側の対応について調査したので報告する.【方法】2015年6月から2018年5月までの3年間について集計,調査した.報告する検査結果の基準は ①各検査のパニック値 ②症状を伴う場合 ③カルテ記載内容から臨床側が認識していないと推測される病態 ④緊急性は低いが次回診察まで日数がある場合である.連絡する際は,前回値や他の検査の有無も確認し報告した.【結果】調査対象期間の報告件数は入院・外来併せて194 件であった.内訳はホルター心電図検査128件,心電図検査40件,下肢静脈超音波検査10件,腹部超音波検査7件,心臓超音波検査6件,乳腺超音波検査1件,脳波検査1件,PWV/ABI 検査1件であった.報告後,当日に診察や他科紹介につながった例は全体で63件(32%)あった.そのうちホルター心電図検査では心電図変化に伴って症状が認められた場合など28件他のパニック値・緊急値報告も治療へ結びついているのが確認できた。心エコーにおけるパニック値ではIEで血培が提出され早期の抗菌薬治療へと繋がり、心タンポナーデ、心臓内血栓、右房内腫瘍例も早期対応を確認できパニック値(像)報告は適切だと考えられる。【結語】パニック値(像)を報告することにより臨床が早期対応をしており、報告する有用性を改めて認識した。パニック値の内容と報告体制を今後も引き続き検討していく必要がある。 連絡先 049(276)1805あった.次に心電図検査に関しては依頼が循環器科以外の場合,当日に診察や循環器科へ紹介となる例が多く19件あった.主治医への報告が有用であった例を報告する.【症例】80歳代女性. 明け方,就寝中の胸部不快感のためホルター心電図検査を施行した.結果,夜間から明け方にかけて胸痛出現時に一致しST上昇・低下,陰性T波増大を認めた.直ちに担当医へ連絡し,緊急入院となった.心臓カテーテル検査にてLAD#7に75%の狭窄を認めたが,ホルター心電図検査の結果から冠攣縮性狭心症が考えられたため,ステント留置は行わずにバルーン拡張術のみが施行された.【まとめ】生理機能検査では症例により所見の捉え方が一定ではなく,パニック値の判別が困難な場合もある.そのため報告すべきか判断に迷うことも多く遭遇する.今回の現状調査から,当院検査室での報告基準において早期の治療開始につながった例があり臨床上有用であった.今後も臨床的に重要な所見を見逃さぬよう技師個人のスキルアップを図ると共に,積極的に臨床に有用な報告を行っていきたい.越谷市立病院 臨床検査科―048-965-2221(内線2261)EntryNo. 71EntryNo. 5心電図・心臓超音波検査パニック値(像)報告後の経過の検討当院生理機能検査室における緊急報告の現状生-5(第5会場 9:58~10:25)生-6(第5会場 9:58~10:25)
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