埼臨技会誌 Vol
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(67/69)であった(表1)。MACは感度91.7%(11/12)、特異度97.9%(46/47)、一致率96.6%(57/59)であった。培養同定結果とB法の比較は、TBが感度92.3%(12/13)、特異度100%(56/56)、一致率98.6%(68/69)、MACが感度75.0%(12/16)、特異度100%(43/43)一致率93.2%(55/59)であった。またA法とB法の不一致例はTBが2例、MACが4例であった。表1 TBにおけるμTAS-WakoとTaqMan(PCR)法の比較微生物73全自動遺伝子解析装置μTAS Wako g1®を用いた抗酸菌PCR検査の検討μTAS-WakoTaqMan(PCR)法(+)10010(+)(-)TotalSensitivity=100%Total(-)2※5759125769Specificty=96.6%【はじめに】2007年にClostridium difficile関連感染症(以下CDI)の水平伝搬によるアウトブレイクを経験して以来、Clostridium difficile(以下CD)への対応は慎重である。2018年4月初旬からCD陽性が増加し、5月初めに院内のCDアウトブレイク基準に達したためICTの介入を行った。今回のアウトブレイクへの対応とCD検査について報告する。【ICT活動】当院は、CD抗原(以下GDH)/ToxinAB迅速キットで陽性が出た場合、医師や看護師、感染管理室に直接連絡し、CDIとして接触感染予防を開始する。また、1病棟から5名以上の陽性者が出た場合にアウトブレイクと判断する。5月初旬に8名のGDH陽性が出たためアウトブレイクと判断し、ICTの臨時介入を行った。発生源・伝播経路の確認、病棟ラウンド、医師・看護師へ感染防止対策の啓蒙、検査室では提出状況と陽性率について確認を行った。【対応と結果】発生源の調査では、一部の医師で交差はあったが、看護師や患者、使用するトイレなどに交差がないため水平伝搬を否定した。病棟ラウンドではカルテにキー【はじめに】2018年3月より全自動遺伝子解析装置μTAS Wako g1®「和光純薬工業㈱」を導入し、結核菌(TB)とM.avium complex(MAC)のPCR検査を行っている。導入に際し同年1月から3月までの3か月間LSIメディエンス(株)のTaqManPCR法と比較したので報告する。【対象】対象は2018年1月から3月までに提出されたPCR依頼のある69検体でMACについては59件を対象とした。69検体は男性39名(56.5%)平均72.7歳、女性30名(43.5%)平均68.5歳で、検査材料の内訳は、喀痰52例(75.4%)、胃液3例、気管支洗浄液、肺胞洗浄液、血液、髄液、心嚢液、胸腺嚢胞、リンパ節、糞便、その他(呼吸器系)が各1例ずつであった。【方法】比較方法は基準法をLSIメディエンス㈱のTaqManPCR(A法)とし、μTAS Wako g1®(B法)と比較した。また、培養同定結果とA法、B法との比較をそれぞれ実施した。【結果】A法とB法との比較は、TBが感度100%(10/10)、特異度96.6%(57/59)、一致率97.1%~推奨されるガイドラインの引用と試薬管理の必要性~ボードカバーをかけて清掃を推奨した。固形便や複数回の検査依頼があったため、無症候キャリアを拾わないよう、日本化学療法学会/日本感染症学会編のCD感染症診断ガイドライン(案)をもとに、ブリストルスケール5以上の便を検査対象とした。検査を中止した件数は4月5件、5月4件であった。これを経て、3週間程度でCD陽性例が減少し、アウトブレイク終息と判断した。後日メーカーより、使用ロットに偽陽性が多いとの連絡があり、偽アウトブレイクであった可能性も示唆された。【まとめ】CD検査はGDH陽性で感染対策開始、Toxin陽性で治療と、検査に複数の意味合いが生じると感じる。検査方法では、培養は検出率、PCRは価格に難があるとされ現場は苦慮することが多い。現在作成中のCD感染症診断ガイドライン(案)作成行程の重要臨床課題5にCD感染症の検査が含まれているため、ガイドラインの完成を期待したい。今回のアウトブレイクは検査試薬の問題も否定できないが、感染対策の振り返りになったと考える。連絡先:04-2953-6611(内線1290)【考察】A法とB法とを比較した結果、感度、特異度共に良好であり、B法の有用性が認められた。さらに2法を同定培養結果と比較した結果、B法はTBの早期診断により有用であると考えられる。不一致例5件については、集菌塗抹結果が-~±といずれも菌数が少数の検体であった。連絡先:048-536-9900 (内)2280Clostridium difficile関連感染症のアウトブレイクの報告◎宮川 直輝1)、辻井 恵美1)、小出 采歩1)、中村 暁子1)、安藤 恭代1)◎宮川 直輝1)、辻井 恵美1)、小出 采歩1)、中村 暁子1)、安藤 恭代1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院1)◎鳥羽 里穂1)、須江 義孝1)、吉岡 浩明1)、鈴木 みどり1)◎鳥羽 里穂1)、須江 義孝1)、吉岡 浩明1)、鈴木 みどり1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター1)Clostridium difficile関連感染症のアウトブレイクの報告全自動遺伝子解析装置μTAS Wako g1®を用いた~推奨されるガイドラインの引用と試薬管理の必要性~抗酸菌PCR検査の検討微-8(第4会場 10:46~11:24)微-9(第4会場 13:15~13:52)EntryNo. 65EntryNo. 22

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