埼臨技会誌 Vol
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臨床化学免疫血清AIA-900(FEIA法)導入に際し,外注検査(CLIA法)との比較検討を行った.BNPは赤血球中酵素(プロテアーゼ)による分解を受けやすい事が知られ,分解を阻止する対策として,外注検査には凍結血漿検体で提出しているが,凍結(‐20℃以下)をしても測定値の低下は免れないことが知られている.院内では凍結することなく測定するため,凍結前血漿と凍結LC-MS/MSを用いた尿中MNおよびNMNの濃度測定法の検討AIA‐900を用いた院内BNP測定の検討67【はじめに】これまでに尿中MN分画は,カラムスイッチングHPLCによるポストカラム誘導体化法(従来法)を用いて測定していた.従来法は試薬数とその量が多く,膨大な分析時間を要していた.そこで,これらの問題を解消するため,LC-MS/MSを用いた尿中MN分画の測定法の検討を行った.【方法】検体に6mol/L HClを加え,沸騰水に入れて加水分解した.上清を分取し,内部標準溶液を加え,LC-MS/MSで測定した.LC-MS/MSシステムは島津製作所社製のトリプル四重極型LCMS-8060を使用した.分析カラムは島津GLC社製のShimpack GISS C18(2.1 mmI.D×100mmL,3μm)を用いた.移動相Aに20mmol/L酢酸アンモニウム水溶液,移動相Bにメタノール,流速は0.3mL/min.のリニアグラジエント,カラム温度は25℃,試料注入量は0.3μLとした.質量分析条件はエレクトロスプレーイオン(ESI)の多重モニタリング(MRM)にて定量した.【はじめに】血中BNP値は心不全の診断・治療において,重要な指標となる検査項目である.当院では年間約4000件の依頼があるが,外注検査に委託していたため,その日のうちに結果を知ることが出来ない状況であった.全自動エンザイムイムノアッセイ装置AIA-900(東ソー社)を導入することによって院内で測定を行い,迅速に報告することが可能となった.後血漿の測定値の比較検討も行った.【対象】2018年3月14日から3月28日で外注BNPの依頼があった39件【方法】EDTA-2Na入り採血管に採取し,遠心分離した血漿を凍結前【結果】0.01~10mg/Lの濃度範囲での直線性は、相対誤差でMNは-3.3~+12.2 %,NMNは-9.2~+5.9 %であった.測定内及び測定間の精度は,測定内においてMNはCV%=0.0~4.5,RE%=-4.7~+1.8,NMNはCV%=0.0~6.9,RE%=+0.9~+10.3,測定間においてMNはCV%=0.0~3.3,RE%=-3.3~+1.8,NMNはCV%=0.0~2.5,RE%=+0.9~+9.0であった.10検体の確認でマトリックス効果は認められなかった.従来法との相関は,MNはy=1.000x+0.004,r=0.994,NMNはy=1.014x+0.017,r=0.992と良好であった.【まとめ】測定法の検討の結果,直線性,再現性,及び相関において良好な結果が得られた.またLC-MS/MS法に変更することにより,試薬使用量の削減と分析時間の短縮が可能となり、測定法の妥当性と有用性が確認された.連絡先:049(232)0087として測定.その後凍結(-30℃)で保存し,室温(約22℃)で解凍したものを凍結後として測定.【結果】外注検査とAIA-900(血漿凍結前)にy=0.904599x-10.169726 r=0.9995(p<0.0001)の良好な相関関係が見られ,外注検査とAIA-900(血漿凍結後)にy=1.057098x-8.656133r=0.9974(p<0.0001)の良好な相関関係が見られた.また,凍結後のBNP値は凍結前よりも約10%低下していた.【まとめ】試薬添付文書にFEIA法とRIA法との相関性が良好と記載されているが,今回の検討でFEIA法とCLIA法との相関性も良好であるということが分かった.【結語】院内BNPは今までの外注BNPよりも約10%値が高いという事を臨床に伝え,前回値と比較する際に考慮していただくこととし,AIA-900でのBNP測定を開始した.          連絡先:048(474)7211内線451◎水村 千恵1)、江尻 昂永、村上 朋輝、難波 わさ、木戸 誠二郎◎水村 千恵1)、江尻 昂永、村上 朋輝、難波 わさ、木戸 誠二郎株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)株式会社 ビー・エム・エル総合研究所1)◎鳥村 亮1)、緒方 久江1)、野本 陽子1)、串田 なつき1)、濱野 拓也1)、坂本 のぞみ1)、清水 則明1)、高山 好弘2)◎鳥村 亮1)、緒方 久江1)、野本 陽子1)、串田 なつき1)、濱野 拓也1)、坂本 のぞみ1)、清水 則明1)、高山 好弘2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG本部 臨床検査部2)戸田中央医科グループ 新座志木中央総合病院1)、TMG 本部 臨床検査部2)EntryNo. 51EntryNo. 32LC-MS/MSを用いた尿中MNおよびNMNの濃度測定法の検討AIA‐900を用いた院内BNP測定の検討化-5(第1会場 10:08~10:36)免-1(第1会場 10:37~11:04)

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