埼臨技会誌 Vol
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はじめに 学生の皆様、はじめまして。公益社団法人埼玉県臨床検査技師会会長の神山と申します。今回の学会で「臨床検査技師を目指す君たちへ」と題したランチョンセミナーが企画され、その講師としての白羽の矢が頭に突き刺さってしまいました。 約一時間、弁当食べながらおつきあいください。 1.皆さんへ質問! Q.臨床検査技師って資格を知ったのは何時頃ですか? ・殆どの方が高校3年の春頃だと思う。 Q.臨床検査技師を知ったとき、臨床検査技師ってどんな仕事をするのか知っていましたか? ・病院で検査をする人・・・位かな? Q.臨床検査技師でしかできない業務って何ですか? A.無い!臨床検査技師は名称独占資格であり業務独占資格ではない。 Q.じゃあ、臨床検査って誰がやっても良いのですか? A.Yes!臨床検査技師だと名乗らなければ「検体検査」は誰が行っても問題ない。また、生理機能検査は無資格者が行った場合は保助看法違反(技師法違反ではない)となるが、看護師は全て実施可能だし、一部の生理機能検査については診療放射線技師や視能訓練士も行うことが可能である。 え~そうなんだ・・・今は知ってるけど、学校入るまで知らなかった・・・・知ってたら検査技師になろうなんて思わないよ! 2.患者さんに質問! Q.患者さん100人に聞きました!病院で働く職種は? A.一番:医師、二番:看護婦(婦と答える人はまだ多い)、三番:薬剤師、四番:レントゲンの人(診療放射線技師と答える人は少ない)五番・・六番・・・七番・・・・・・・相当最後に「検査の人!」 世の中そんなもんだ。大変な思いをして国家試験をとっても、業務独占権がないマイナーな職種!それが、皆が片足以上突っ込んでしまい引き返すには相当の覚悟と親への謝罪が必要な「臨床検査技師」なのである。 今から方向転換しますか???? 3.国家試験 皆さんは夢と希望を持って技師養成校で学んでいるはずだが、国家試験に合格しないと全ての努力は藻屑となる。もし落ちたら?せっかく決まっていた就職はパーになる。法律の上では「誰が行っても良い検査」だが、今のご時世、無資 神山 清志(一般社団法人 浦和医師会メディカルセンター)54臨床検査技師を目指す君たちへ 格者が病院で検査をすることなどあり得ない。あったとしたら・・・罰則はないけど社会(患者さん)が許さないと思う。高い金と長い時間をかけて学校に行って国家試験落ちたらたまったものではない。最近では専門学校卒業者には専門士なる「称号」が与えられるようだが、大学に編入できますよ!位のメリットで、この称号で飯を食べることはできない。 4.技師一年生 新人は一番に出勤し、窓を開けて机を拭く。そして、先輩方が出勤して仕事をしやすいように諸準備する。しかし、今のご時世こんなことしている人は先ずいない。ヤレと言えば「それは早出手当が付くのですか?」となる。 私が若いころは(今でも十分若いと思っているが・・・)、あ~だった、こ~だった・・・など言っても、はぁ・・そうだったんですか・・・だよね。 時代は確実に変わっている。 皆が育って学んだ環境は私たちの時と大きく異なっているようだ。私たちも変わらなくてはいけないのかもしれない。 しかし、お偉いさんの多くは、未だに精神論重視で、それが組織運営をする上で大切だと思っている。でも、それって結構重要だと思い続けている私はやはり時代遅れのおっちゃんなんなのだろうか? 5.サービス業 私たちの給料は国民が払う税金、保険料、患者さんが払う医療費個人負担金等で賄われている。したがってお金を出してくれる人を不快にさせることはあってはならない。 立場を変えてみよう。 具合が悪くて病院行ったら香水プンプンの職員いたらどう思う? 採血してもらうとき長い爪に真っ赤なマニュキュアが塗られていたらどう思う? 心電図検査を受けているとき、技師のじゃらじゃらしたネックレスが胸に当たったらどう思う? 人間まずは見た目だ。どんなに優れた良い人でも、相手からの見た目が悪ければアウトである。しかし、見た目がしっかりしていても中身がなければこれもアウトである。患者さんが安心して検査を受けるためには十分な説明ができる技量も必要である。医療はサービス業なのだ。 6.組織論 集団行動って苦手ですか? 昔々の検査技師(臨床付かなかった頃)って、人と話すのが苦手で薄暗い部屋で黙々と顕微鏡を見ているヒト。と、超 神山 清志…(一般社団法人 浦和医師会メディカルセンター) 臨床検査技師を目指す君たちへ

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