埼臨技会誌 Vol
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50【はじめに】 「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(2010年4月付厚労省医政局通知)の中で、医師、看護職員の業務負担の軽減に向けて「医師等の包括指示の下、各医療スタッフの専門性に積極的に委ねるとともに、医療スタッフ間の連携・補完を一層進めることが重要である。」という通知があった。臨床検査は患者の病態把握・診断・治療のために行われるものであり、その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し、患者により近いところで専門的能力を発揮することが求められている。これらの背景から、臨床検査技師の病棟業務への参画が重要な課題と捉え、2015年9月日本臨床衛生検査技師会より協力依頼を受けた病棟における検査関連業務の実検証をもって、病棟へ臨床検査技師を配置した場合における効果を分析し、学会等で報告した。検証後、2016年3月より臨床検査技師の病棟配置を実施している。 【病棟配置効果】 臨床検査技師を病棟配置することの効果として、①採血管等の検査関連物品の管理(期限切れ)②適切な採血量、採血菅の順序(再採血減少)③迅速な情報伝達と管理(結果の一時スクリーニング、血液製剤廃棄減少)④検査技師による検査説明(患者不安削減)⑤他部署スタッフとの信頼関係構築(情報交換、連携)⑥スタッフの意識改革(どうしたらできるか、どこまでならできるかを考えるようになった) 【今後の課題】 現在、病棟配置への取り組みは、週1日1病棟8:30から16:00までの配置である。今後は毎日複数病棟に配置していきたいと考えている。しかし、病棟配置の効果は認められてはいるが、マンパワーの問題が大きい。外来看護からは検体採取、経営面からは診療報酬に繋がらない病棟業務より、点数の高いエコー件数の増加を求められている。医療行政を把握し、経営面を考えながら「医療の質」を向上させることが管理者としての課題である。 【まとめ】 検査室の精度が優れていても病棟での検体採取が正しく行われていなければ質の高い検査とは言えない。ホーム(検査室)で業務を続けてきて、アウェー(病棟)での業務は戦いかもしれない。「検査説明」、「検体採取」、「精度管理の省令」「ゲノム医療」、「ISO15189」など取り組まなければならない課題も多い。また、「少子・高齢化」、「医師働き方改革」、「地域医療構想」、「検査部門へのAI進出」など考えていかなければならない問題も多い。今後、臨床検査がなくなることはないと思われるが、そこに臨床検査技師が必要と思われるために、変わらなければならない時であると検査部門管理者の立場として感じている。 【資料】 医学検査 VOL.66 NO.4 2017 連絡先 045-715-3111 臨床検査技師の病棟配置への取り組み ~検査部門管理者の立場として~ 吉田 功(社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷横浜病院) 吉田 功…(社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院) 臨床検査技師の病棟配置への取り組み~検査部門管理者の立場として~
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